第一章『ロストブルー』

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第一章『ロストブルー』

第一章『ロストブルー』  W六四〇区域の拠点地にて。  アンドロイド達は、雪に覆われつつも倒壊が比較的少ない建物の中を拠点地としていた。拠点地には、少数のアンドロイドが集まることが多く、そこには長い耳を有する黒兎もいた。  その建物は広い。人類が存命していたときには、ショッピングモールとして使用されていただろう。その中でも特に映画館として使用された部分に、約十数体のアンドロイド達は集っていた。天井が少し崩れ、外からは灰色の光が入ってくるが、雪を凌ぐには十分な場所であった。  黒兎は、見知った顔がないか辺りを見回す。殆どは見たことがない顔だった。それもそのはず。黒兎はずっと東にあるT一五〇区域から移動してきたのだから。見知らぬ者達に兎耳をじろじろと見られ、思わず黒兎は目を逸らした。  黒兎にとってこの兎耳はコンプレックスだった。ウサギの耳は可愛らしいものの象徴だという知識がある。体も心も男として設計されてある黒兎にとって、兎耳を有していることは非常に気恥ずかしいものであった。それに加えて、黒兎は恐怖の感情プログラムを増幅させられているため、随分と怖がりであった。ウサギ(ラビット)は臆病者の代名詞とはよく言ったもので、笑い者にされても文句は言えない。黒兎はなるべくクールかつ気丈に振舞っているが、その性質には困らされている。  そんなことを考えながら周囲を見渡していると、背後からようやく既知の声がした。 「黒兎(ラビット)? 随分、久しぶりじゃない」 「……ラプンツェル?」 振り返ると髪が地まで伸びた少女が立っていた。彼女はラプンツェル。黒兎と同じくアンドロイドである。 「いつこっちに?」 「一昨日。W六四〇区域周辺に沸いた侵略者(インベーター)の排除を命令された」 「そうなのね」 ラプンツェルは納得して頷き座席に腰かける。長い髪が床を張り巡らせるかのように垂れ下がった。 「私たちは『AI様』の手足、貴方もご苦労様ね。……だけど、もう人間がもう滅んでいるのに、何故AI様は私達に命令を下すのかしら」  AIは人類の知能を遥かに上回る人工知能。そのAIの誕生によって、科学技術が急激に発展し人類の生活に大きな影響を与えた。その起点は『技術的特異点』と呼ばれている。 技術的特異点。それは、予測通り二〇四五年に起きた。 二〇四五年。人類が人知を越えたAIシステムを開発した。人間の知能を越えたAIシステムによって、予測できないような物が次々と発明され、人々の生活は大きく変化した。AIは人間の生活を実質的に支配していったのだった。その課程で産み出されたのが、人間とかなり近い思考を持つ『深層心理』が搭載されたアンドロイドである。深層心理とは人間の複雑な心の動きであり、それをデータ化してアンドロイドに移植したというのだ。 その数十後、宇宙から襲来した侵略者(インベーター)によって人類が滅亡した。AIによる技術を用いても、人間は侵略者には勝てなかった。高度文明を喰らい成長していく侵略者に敗北したのだ。そして世界の気温が急激に低下し、大地は雪に覆われてしまう。それでも生き残ったのは、黒兎達のようなアンドロイドと、実体がない概念のような存在であるAIであった。AIは今でもアンドロイドの脳媒体に命令信号を送っている。しかし、その意図はアンドロイド達には分かっていないのだ。 「世界を完璧に支配したいか、生みの親である人間の仇なのか、……わからないな」 「何も分からないわね。AI様のことも、この世界のことも」 アンドロイド達の記憶は、人類滅亡後に初期化(リセット)されている。その意図も推測でしか語れない。しかし、自分たちは所詮AIの道具。体内から生まれる感情は所詮、AIと人間達に作られた偽者なのだ。人工物であるアンドロイドにとってこの世界のことを知る必要などない。  その時、黒兎の脳髄部品が命令信号を受信した。 「……っ」 「……命令? 噂をすれば、って奴かしら」 「……そんなところだ」  黒兎の表情は険しい。彼に発汗機能があれば、額に汗をかいていただろう。 「あなた、大丈夫なの?」 長い髪を弄りながら、彼女は心配そうな目で黒兎を見つめた。 「……何が?」 「怖いんでしょ、本当は」  黒兎は、その問いに答えることは出来なかった。人間の感情データの『恐怖』を増幅させられた彼にとって、侵略者(インベーター)と対峙するだけで体は怯え震えてしまう。それでも、恐怖に堪え任務をこなしている。とはいえ、彼はAIの命令を実行するのみだ。そこには、強制的にだとか、絶対的にとか、そういう人間らしいものは存在しない。ただ、機械的にそうできてしまっているだけ。無論、ラプンツェルにもそんなことは分かっている。故に、自身が彼に投げ掛けた問いは無意味であることだと知っていた。知っていてもなお、彼を気にかけるのは、彼女に搭載されている感情がそうさせているのだ。  ラプンツェルはため息をついき、新たなる疑問を彼に問いかける。 「で、今度の任務は何なの?」 「……O五三零区域にて、大規模な襲撃があったそうだ」 「O五三零区域って……、あの大阪と呼ばれた大都市跡? 旧文明の重要な研究施設があったって聞いたのだけど」 「殆ど壊滅させられたようだ」 「……そこの鎮圧に行くの?」 「いや、もう鎮圧は終わっている。その際に多くのアンドロイドが犠牲になったようだ」  もしかしたら、その中に知っているアンドロイドもいたかもしれない。だが、こんな終わっている世界で知人の死は当然のことである。 「……じゃあ、あなたの任務は何?」 「運び屋だ」  運び屋、という言葉にラプンツェルは疑義の念を抱く。 「何を運ぶの?」 「重要機密に関わるものらしい。襲撃の中で唯一、無事だったものだ」 「……重要機密……」 「大規模襲撃の鎮圧で生き残ったアンドロイドがいるそうだ。彼女と共にK六五〇区域へ運搬する」 「彼女?」 「その生き残りは女性型だそうだ」  何故か気に食わなさそうにそっぽを向く彼女に疑問を持ちながら、、黒兎はラプンツェルの隣に座る。黴の生えた座席には不思議と不快感はなかった。元々は映画館だったというこの場所にはいくつもの座席があり、目の前には巨大なスクリーンがある。二人は、もう何も映すこともないだろうそれを見つめている。  少しの沈黙の後、最初に口を開いたのはラプンツェルであった。 「ねえ、不思議の(ワンダーランド)って知っている?」 「ワンダー……、ランド?」 その単語に眉を顰める黒兎に、ラプンツェルは言い添える。 「この世界のどこかにある、夢と希望が溢れた国のこと」 「……そんな御伽噺をどこで聞いたんだ?」 「アンドロイド達の噂よ」  思わず黒兎は苦笑した。感情を搭載されているとはいえ、アンドロイドが非現実的な妄想を抱くだなんて。 「でも、あったら素敵でしょ。私達は、この何もかもが終わった世界でAIの言う通りに働くだけ。だから、別の世界で自由に生きてみたいと思わない?」 「それは何とも人間らしい感情だ。……その感情はを否定することは出来ないし、同じ気持ちでないと言われれば嘘になる。だけど、そんなものは幻だ」 「……分かっているわ、そんなこと」  不思議の(ワンダーランド)。そこはこの世界のように年中雪に覆われることもなく、緑が溢れ、人々が平和に暮らしているのだろう。きっと、侵略者(インベーター)に怯えることもない。 「……どうやったら行けるんだろうな、その不思議(ワンダ)の(ー ラ)国(ンド)っていうのは」  黒兎は、淡い期待を込めて呟く。しかし、きっと、そんなところはないだろう。黒兎は、目の前にある大きなスクリーンに自分の夢を思い描くことしかできなかった。 **  重要機密を運ぶ、という任務を受けた黒兎は、同じ任務を遂行する仲間と合流することが出来た。その仲間というのが目の前の少女、アリスである。AIから事前に彼女のデータを受け取っていたので間違いはないだろう。 「改めて名乗ろう、黒兎(ラビット)だ。……お前と共に、重要機密をO五三零区域からK六五〇区域へ運搬することになっている。宜しく頼む」  黒兎はアリスに手を伸ばし、握手を求めた。 「随分と礼儀が正しいアンドロイドだね、君は」 「お褒めに頂き、光栄だ」  アリスは黒兎の握手に応じた。冷たい人工皮膚の感触が互いに伝わる。 「ところで、その重要機密とやらはその背中に背負っているものか?」  アリスの背負っているものを黒兎は指さす。黒いキューブのようなものだった。 「そうだよ、……とりあえず、詳しいことは歩きながらでも」  アリスはそう応えて都市跡を進み、黒兎もそれに続いていった。  数分もしないうちに、O五三零区域の大通りに出た。特にビル跡が密集しているこの地域を二体が歩いていく。  遠方からは感じることが出来なかった硝煙の匂いが鼻につく。地に伏せている数多くのアンドロイドと侵略者(インベーター)の残骸がそこにはあった。アンドロイドの黒い血と侵略者(インベーター)の緑色の血が混ざり合い、白い雪地を染めていた。それらは、確かにここで侵略者(インベーター)による大規模な襲撃があったことを物語っている。アリスはそれを哀れむように呟いた。 「酷いものさ。みんな死んじゃった」 黒兎とアリスはその残骸の道を進んでいく。ふと、彼女はある残骸の前で立ち止まった。 「例えば、このイカロスというアンドロイド。彼女はとても頑張って戦ってくれたんだ」  イカロスと呼ばれた女性型アンドロイドには翼があった。翼のついたアンドロイドは非常に珍しい。きっと生前は美しい翼を広げ、空を飛行することが出来たのだろう。しかし、今は無残にも羽が千切られ、空洞のある胴体を晒している。特殊なアンドロイドですら、このような有様だ。どれほどの規模が大きい襲撃だったのだろうか。 「何人生き残ったんだ?」 「私だけ」 「……そうか、悪い」  アリスは多くの知人を亡くしたのだろう。しかし、アリスは心のうちにある悲しみを隠そうとしているようだ。気丈に振舞っているように見えるが、きっと一人では抱えきれないほどの想いを胸に秘めているだろう。 「黒兎、そんな寂しい顔をしないでくれるかい?」 「いや、……俺は」  黒兎のアリスを哀れむ想いが顔に出てしまっていたようだ。対してアリスは黒兎に明るい表情を作る。 「元より、この終わった世界で亡くすものなんて少なくないだろう。私は立ち直っているよ。私を想うなら君は死なないように努めて欲しい」 「……分かった」  黒兎は短く応えた。黒兎は旧型でスペックが低い。アリスの足手まといにならない努力はするべきだろう。 ふと、アリスは遠くを見やる。彼女の視線の先には倒壊した巨大なビルがあった。その建物の焦げ跡はまだ新しい。それを覆い隠すかのように雪が降り注いでいる。 「……あそこは?」 「重要施設。……私はそうとしか聞かされていない。……よいしょっと」  アリスは、背負っていた重要機密を降ろした。それは、地面からアリスの膝下ぐらいまでの正方形の箱であった。黒くて丈夫な物質がキューブ状になったものだろう。しかし、その箱には蓋のようなものが存在しない。アリスはそれを紐で縛りつけ、背負えるようにしていたらしい。黒兎はそれを見て首を傾げた。真っ黒なキューブの正体に見当もつかなかった。 「一体、何なんだ、それは」 「……重要機密。……私はそうとしか聞かされていない」 アリスは先ほどとほぼ変わらぬ返答をする。 「この荷物もイカロスから引き継いだだけなんだ。中身については何も分からないのだよ」 彼女は困ったように言って、その箱状のものを指差した。 「何をしているんだい? 君は荷物持ちのために、ここに呼ばれたのだろう?」 「……いや、同行と聞いている」 「君は大層頭が固いみたいで、この先不安だよ」 「……荷物を背負うことに不服があるわけではない。……どれくらいの重さがある?」 「一五〇〇グラム」  想像よりは軽そうだと判断した黒兎は、元々背負っていた鎌を下ろしてから荷物を背負う。鎌より少し重い程度であった。鎌は手に持って運ぶことにした。O五三零区域からK六五零区域までは三十二キロメートル。侵略者(インベーター)の襲撃を考慮しなければ、八時間もあれば到着する。その間だけ背負うのであれば、何ら問題はない。しかし、アリスは「やはり」と手を伸ばした。  「……私が荷物を持つほうがいいね。申し訳なかった。私がそれを持とう」 「別にかまわないが」 「君にはその獲物がある。対して私は手ぶらだ。私が荷物を背負うほうがいいだろう。さっきのはジョークとして捉えてくれ」  そう言われてしまえば遠慮なく任せよう、と黒兎は荷物を降ろした。アリスが再び、紐に縛られたキューブを背負うところを見て、ふと気づいたことがあった。 「……お前、武器はないのか?」 「武器?」 「これだけの侵略者(インベーター)を鎮圧し、生存したんだ。まさか手ぶらで戦争をしたわけでもないだろう」  その言葉を聞いて、アリスは「ああ」と声をあげる。 「私は手ぶらだよ」 「まさか」 「その、まさかだよ」  アリスは右手を前に差し出し、ぱちんと指を鳴らした。すると、足元に転がっている侵略者(インベーター)の残骸が宙に浮く。アリスの身長を悠に超える高さまで浮上し、空中で留まった。 「私はこういう能力で奴らを倒した。『サイコキネス』と言ったほうが分かりやすいかな?」 そう言って彼女はすとんと右手を降ろした。同時に侵略者(インベーター)の残骸もばさりと音と立てて落下する。黒兎はそれを見て感心したように呟いた。 「なるほど。超能力が使えるアンドロイド……、高性能(ハイスペック)か」  高性能(ハイスペック)。その名の通り優秀な機能を持つアンドロイドを示し、中にはアリスのような超能力を扱える個体もある。感情を不自然に増幅させられている旧式の黒兎とは、スペックに大きな差があるみたいだった。 「恐らく、私のこの力は超能力なんかではないよ。きっと、きちんとした原理が存在しているんだ。ただ、人間が理解できる原理ではないだろうけど」 「人知を超えた原理で基づいている力であれば、それは『超能力』と定義して問題ないだろう」 「そう言われてみれば、そうだね」 アリスは納得したように頷き、任務遂行のためK六五〇区域へと歩みを進める。方角はここより西だ。黒兎もそれに続こうとするが、ふとあることに気づく。 「そんな便利な能力があるのであれば、この荷物も軽々と持てるのではないか?」 その提案にアリスは、呆れたように答えた。 「君は片足立ちで一日過ごせと言われても大丈夫なのかい?」 「……質問の意図が分からないが」 「この能力を使うのには、かなりの集中力がいる。八時間の旅路の中で、その集中力を保てと君は言うのかい?」 「なるほど」  長時間に渡る超能力の使用は彼女にとってかなりの負担となるらしい。それに納得した黒兎はアリスに続くような形で歩き出した。  二人が言葉を紡ぐのを止めると、再び世界に静寂が訪れた。かつて大きな賑わいを見せていただろう大都市は息の根を殺している。やがて静かな世界は、先ほどまで気にも留めていなかった音を感知させた。雪道を歩くざくざくとした音が二体分と、冷たく吹く風の小さな音。  黒兎は機能を亡くした大都市に思いを馳せる。かつてこの島国は『日本』と呼ばれており、その日本の中でも栄えた都市のひとつがこの大阪、即ちO五三零区域だ。そして、今向かっているK六五〇区域は、かつて『神戸』と呼ばれた都市だ。山と海に挟まれた都市もかつては人口が多い街だという。O五三零区域からK六五〇区域にかけては非常に温暖な地域であり、雪も滅多に降ることがなかったらしいが、今ではこの有様である。とはいえ、東の地域に比べて風の冷たさが確かに穏やかではある。以前、黒兎が北部に任務に訪れたときは地獄のような寒さに震えていたが、それに比べると随分とましなのかもしれない。  千切れた鉄道が垂れ下がる高架下を潜り抜けると、ふとアリスが沈黙を破った。 「君は、不思議の(ワンダーランド)に連れていってくれるウサギじゃなかったみたいだね」 「……悪かったな」 「では、君のその長い耳はなんだい?」 「AIにでも訊いてくれ」 「成人男性体に兎の耳をつける……、そんな悪趣味な構造を思いついた奴は確かに人知を超えているよ。君が小説の主人公であれば、大衆受けしないだろうね」 「耳を塞げないのが『この耳』の不便なところだな。そのような嫌味は聞きたくない」  黒兎本人だって、この耳の正体が何なのか分からない。他のアンドロイドには笑いものにされるし、自ら千切ってやりたい気持ちだってある。 「見た目についていうなら、アリス。お前も大層メルヘンな格好をしているだろ」 「だって、私は『不思議の国のアリス』だからね」 「……」  臆面もなく言う少女に黒兎は頭を抱える。 「……分かった。お前が夢見がちな『乙女型アンドロイド』であることは充分に分かった」 「不思議の(ワンダーランド)はあるよ」 「どうして、そう言い切れる? この世界のどこを見ても、雪と廃墟、そして侵略者(インベーター)達だ。夢や希望なんてない。ましては、お茶会もハートの女王も、チェシャ猫も……」  そこまで言葉を紡いだ黒兎ははっとする。 「……俺は、今、なんて」 「どうやら、君も、『不思議の国のアリス』についての記憶があるみたいだね」  お茶会? ハートの女王? チェシャ猫? ……一体、何の話だ? 「俺は知らない。『不思議の国のアリス』なんて、……俺は知らない!」 『恐怖』の感情が共鳴する。 この先は駄目だ、怖い、知りたくない。そんな感情が黒兎を支配する。  ぐるぐると頭の中で巡る記憶の断片が、彼の心を締め付ける。 『……不思議の(ワンダーランド)に連れていってやる』 そう言った何者かが、守りたかった約束。壊された約束。 「……俺は守りたかった」 「何を?」 「思い出せない……。思い出したくない」 「分かったよ」 アリスはそれ以上の言及をせず、黒兎の顔を覗き込んだ。無垢で可愛らしい造形がにこりと笑ってみせた。 「……何だ、今度は俺の顔にも文句をつけるのか?」 「ふふっ、やだな。綺麗だなって思っただけだよ」 綺麗、と言われて黒兎は動揺した。今まで中性的で整った顔を褒められたことはあるが、まさか自分より可憐な少女に言われるとは思わなかった。 「あ、……、そうだな、アリス。お前は俺以上に、……綺麗で可愛い」 「あはははっ、君は本当に面白いな」 アリスは声を上げて綺麗に笑った。そして、黒兎に聞こえないように呟いた。 「君なら、本当に不思議の(ワンダーランド)に連れていってくれるかもしれない」 その声は雪が降る静寂の中に溶け込んでいった。
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