謁見…

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謁見…

「勇者諸君!よくぞ魔王を倒してくれた! 約束どおり褒美をとらせよう!」 王は満面の笑みで俺らを迎え入れた。 「あっけない最期でしたねー…」 「同情したくなる…」 「ありがたき幸せです!!」 二人ほど暗かったが、それ以外はものすごく盛り上がっていた。うんうん。明るいのはいいことだ。あ、どうも。勇者です。 「これからはのんびりと過ごしてくれ。 大儀であった。疲れもある事だろうから宴は明日開くとしよう。今から明日の夜まで。 ざっと30時間はある。準備はすでに始まっているがそれまでに素晴らしいものを用意させよう。さ、彼らに褒美を」 王がそう言うと、傍らから大きな袋を持った兵士が三人現れる。 「各々白金貨百枚ずつある。好きに使ってくれ」(白金貨1枚=百万円相当) 「わあ」 グレイは袋の中身を見て上品に驚き、 「すごいなこりゃ…」 ケインはうっかり笑みが溢れていた。 「世界中の国から是非勇者達へ、といただけたものでな。世界の価値と比べたら少額であるかもしれんが、すまない。魔王の影響で我らも財政難で…」 「何言ってるんですか!それならこのお金も復興のために使ってください!」 グレイのヤツめ。さっきまで白金貨百枚!いえーい!!これで遊んで暮らせるぜぐへへみたいな表情してたくせに。 …そこまではしてなかったかな。 「そうですよ!魔物がいない今、俺たちにこんな大金は必要ありません!」 ライルも続く。 「え?お前らいらねぇの?じゃ、俺だけ貰うわ」   まぁ、俺は続かねぇけど。 「「・・・・・・・・・・・・・」」 「おぬしら…」 王様、泣いてたせいで最後の言葉も間違って聞こえたようだ。 「・・・・・・・・・・・・」 その場には王様の泣く声だけが響いていた。 「ううっ。すまぬな。折角の勇者が帰還した時だというのに・・・。戻ってもらって構わんぞ・・・」 「「「はっ」」」 そう言うと俺達三人は玉座の間を出た。 こうして勇者たちの冒険は終わったのだ。 「「なにしてんのお前!!!!???」」 「何って。部屋から出ただけだけど…」 「それじゃねえよ!金返せよ!!!」 「あなたはクソですか!!」 なんかめっちゃ怒ってる。 あれ?俺またなんかやっちゃいました? 「財政難だって言ってたじゃんか!」 「国が滅んでも俺が楽しければよくね?」 「ゴミだな!紛うことなきゴミだな!」 「見損ないました!!五年前から生きるゴミだとは思ってましたが、完全に見損ないました!!!!!」 二人とも辛辣すぎない?え?当然?そう? 「でもさ、実際問題。俺らこれから、どうやって食っていくわけ?戦うしか能のない俺らに未来なんて…」 俺はそうやって奴らを論破しにかかる …が。 「えーと、私医者になろうと思ってます。折角僧侶として自信のつく立場につけましたし、この経験を生かそうかな、と」 「え」 「俺は自衛隊に入ろうと思う。魔物がいなくなったって各地で紛争とかは起きてるわけだしな」 「いいですね!かっこいいです!!私もそっちで医療系やろうかなーなんて…」 おいそこ、 「いいじゃないか!てかお前普通に戦えるんだし一緒に仕事しよーぜ!」 「そ、そうですかね…?じゃ、じゃあ本当に…」 あ、言い忘れてたが二人は愛し合っている。お互いそのことは知らないらしいが。 「へぇ。お前らにそんな夢が。それなら金をもらわなかったのも納得だ。いいんじゃね?」 「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」 「じゃ、今日はもう寝るわ。おやすみー」 そう言って俺は宿に戻った。 「ことごとくクソですね」 「同感だけどよ、女子がクソなんて言うもんじゃないぞ。」 「じょ…そ、そうかな…えへへ」 リア充め。爆ぜろ。
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