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「結婚はその内するよ。心配しないで」
「その内なんて悠長なこと言って、もしダメになったらどうするの?」
母が心配そうに言った。
アラサー女子の母親としては当然の心境だろう。
父の言葉も威圧感はあるけれど私を気遣ってのことなのだと思う。
「大丈夫、大丈夫。私たちラブラブだから」
自分で言うのも少し照れ臭いがラブラブなのは事実だ。
二人で一緒にいる時間は笑顔に溢れていて、私は裕ちゃんの近くにいられるだけで幸せを感じている。
「こちらはふざけて聞いてるんじゃないんだぞ」
私の軽い返しに父がオホンと咳払いをして眉間に皺を刻む。
その皺の深さが愛情の深さに思えて私の口元が勝手に緩んだ。
「本当に心配しないで。時間作って裕ちゃんと二人で話進めるから。ね?」
裕ちゃんと結婚についてまだ具体的な話はしていないけれど、三人を安心させるために私は明るく声を張って夕飯を頬張った。
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