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その様子を見つめる鳴、急に悲しげな顔になり、背を向ける。
鳴「それじゃあ、私はこれで」
と早歩きで立ち去る鳴。
沙羅の声「待って鳴!」
立ち止まる鳴。
鳴の背後から、声を掛ける沙羅。
沙羅「帰るところないんでしょ。ウチにおいでよ」
驚いて振り返る鳴。
沙羅「一緒に暮らそうって言ってるの!」
優しく笑う坂東、沙羅、布由子。
鳴、少し目に涙をため、頷く。
○JNGX社・外観(夜)
夜の闇にそびえ立つ巨大なビル。
○同・会長室(夜)
直立不動で立つ神酒谷。
ソファに座る椿姫、手のタブレットを操作している。
椿姫「大酒が過ぎたな、神酒谷」
神酒谷「この失態、何とお詫びすれば」
椿姫が立ち上がり、神酒谷に近づく。
椿姫「次のお前の仕事だ。挽回してみせろ」
タブレットを受け取る神酒谷。
タブレットには、巨大な貯水タンクを背負った『ひょっとこ』型のUMN-3の設計図面。
神酒谷「必ずやご期待に添えて見せます」
立ち去ろうとする神酒谷。
椿姫「勝利の美酒はその時までお預けだ」
神酒谷「はっ」
と一礼し、神酒谷が部屋を出て行く。
窓際に近づく椿姫。
木箱が置かれている。
木箱を開く椿姫の手。
木箱の中には(鳴と同じ)花かんざし。
椿姫「響紀……」
木箱を見つめる椿姫の後ろ姿。
つづく
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