第3話『鳴のいる場所』

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   その様子を見つめる鳴、急に悲しげな顔になり、背を向ける。 鳴「それじゃあ、私はこれで」    と早歩きで立ち去る鳴。 沙羅の声「待って鳴!」    立ち止まる鳴。    鳴の背後から、声を掛ける沙羅。 沙羅「帰るところないんでしょ。ウチにおいでよ」    驚いて振り返る鳴。 沙羅「一緒に暮らそうって言ってるの!」    優しく笑う坂東、沙羅、布由子。    鳴、少し目に涙をため、頷く。 ○JNGX社・外観(夜)    夜の闇にそびえ立つ巨大なビル。 ○同・会長室(夜)    直立不動で立つ神酒谷。    ソファに座る椿姫、手のタブレットを操作している。 椿姫「大酒が過ぎたな、神酒谷」 神酒谷「この失態、何とお詫びすれば」    椿姫が立ち上がり、神酒谷に近づく。 椿姫「次のお前の仕事だ。挽回してみせろ」    タブレットを受け取る神酒谷。    タブレットには、巨大な貯水タンクを背負った『ひょっとこ』型のUMN-3の設計図面。 神酒谷「必ずやご期待に添えて見せます」    立ち去ろうとする神酒谷。 椿姫「勝利の美酒はその時までお預けだ」 神酒谷「はっ」    と一礼し、神酒谷が部屋を出て行く。    窓際に近づく椿姫。    木箱が置かれている。    木箱を開く椿姫の手。    木箱の中には(鳴と同じ)花かんざし。 椿姫「響紀……」    木箱を見つめる椿姫の後ろ姿。                つづく
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