第3話『鳴のいる場所』

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第3話『鳴のいる場所』

○皇手筋城・城門    天守閣を持つ黒い城がそびえている。 ○同・会議室    長机を囲みソファに座る振攻会メンバー達。上座に座る椿姫(23)。    椿姫の前、机の上に古びた数冊のノート。    鬼頭貞雄(31)、的井丸(36)、肩身が狭そうな様子で座っている。 玲「高校生相手に情けないわね」 仲沢「序列七位と八位の支配者の実力はこんなもんだろ」    と笑う仲沢ロビン(30)と仲沢玲(29)。 冬舞輝「ねえ、椿様。次こそは私に」 椿姫「(遮り)神酒谷」    立ち上がるスーツ姿の神酒谷消吾(43)。 椿姫「次はお前だ」 神酒谷「はっ。必ずや椿様に勝利の美酒を」 冬舞輝「味わうのは、敗北の苦渋じゃないと良いけどね」    笑う日沼冬舞輝(17)を神酒谷が、睨む。    と、黙る冬舞輝。 椿姫「行け」    立ち上がる振攻会メンバー達。 ○同・廊下    歩く振攻会メンバー達(冬舞輝、鬼頭、的井、神酒谷、仲沢、玲、千華)。 玲「ねえ、ロビン。気にならない?」 仲沢「何がだ?」 玲「椿様のノートの中身」 仲沢「いつも持ち歩いているな」 玲「こっそり、のぞいてみようかしら」 鬼頭「余計な詮索はするな。椿様には、何か深いお考えがあるのだ」    歩き去る振攻会メンバーの後ろ姿。 ○同・会議室    部屋に残った椿姫、飯綱湊人(25)、日沼佐吉(46)。    スクリーンに祭谷龍馬(28)の姿とプロフィールが投影されている。 飯綱「祭谷に関する調査結果は以上です。活動実績の無い環境保護団体の代表ですね」 日沼「不審な点はありますが、我が社の脅威にはなりますまい」 椿姫「他に情報はないか?」 日沼「他とは?」    と顔を見合わせる日沼と飯綱。 飯綱「具体的にご指示いただけませんか」 椿姫「……分かった。もういい。行け」    日沼と飯綱が部屋を出て行く。    椿姫が手元の複数冊のノートを開く。    ノートにはスクラップ記事。帯屋町高校『女子寮でぼや騒ぎ』の記事。四月中旬の日付で、ノート毎に日付が異なっている。    スクリーンを見つめる椿姫。 椿姫「祭谷。お前は『どこへ行った』?」
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