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スクリーン上、笑う祭谷の顔。
○帯屋町高校・女子寮・外観
門が有り『帯屋町高校・やまもも寮』の表札。
やってくる制服姿の坂東響紀(16)、若柳鳴(16)、山村沙羅(16)。それぞれリュックや鞄を掛けている。
坂東の手に請求書。
坂東「鳴、請求書に心当たりはないの?」
鳴「ぜんぜん」
沙羅「寮長さんに聞くしかないわね」
消防車が停まっている。
坂東「まさか火事?」
消防隊員が帰っていく。坂東が慌てて走る。
○同・中庭
一〇一号室のベランダの前に立つ坂東、鳴、沙羅。
部屋の窓が開け放たれて、室内は水浸し。
坂東「なんだ。ただの水漏れか」
沙羅「響紀、ここって……」
鳴「私の部屋だ」
坂東「鳴、何があったか思い出せる?」
鳴、少し考える。
鳴「そういえば今朝……」
○(鳴の回想)鳴の部屋(朝)
衣類やゴミが乱雑に広がった部屋。
玄関で靴を履く制服姿の鳴。
鳴、部屋を出ようとして何かに気付く。
鳴「あっ。ラジカセ」
天井にむき出しになった配管。配管に引っ掛けられたラジカセとその電源ケーブル。
ラジカセを引っ張る鳴。ケーブルが配管に絡まり取れない。
鳴「何で取れないのよ!」
と強引に引っ張る鳴。
急にほどけ転倒する鳴。
配管の隙間から漏れてくる水。
鳴「(ハッとして)学校行かなきゃ」
鳴、ラジカセと鞄を手に部屋を出て行く。
配管の水漏れの勢い、突然激しくなる。
○もとの中庭
ベランダの前に立つ坂東、鳴、沙羅。
沙羅「じゃあ、請求書は……」
坂東「水浸しになった部屋の美装費、かな」
坂東の背後に近づく神酒谷の革靴。
神酒谷の声「坂東響紀だな」
ふり返る坂東。スーツ姿の神酒谷が立っている。
神酒谷「梅の路演舞場の支配者。神酒谷消吾だ」
坂東「振攻会? なんでここに!」
神酒谷「私には別の肩書きがあってな」
と坂東に名刺を渡す神酒谷。
名刺に『土佐行政特別区ガス水道消防事業部長 神酒谷消吾』の文字。
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