第3話『鳴のいる場所』

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神酒谷「私は、土佐行政特別区のガス、水道、消防事業の統括責任者だ。椿様のご命令で来た」 坂東「椿姫?」    神酒谷が鳴の鞄に目を移す。鞄から、鳴子が少し出ている。 神酒谷「どうやら鳴子石は無事のようだな。坂東響紀、今週末私の演舞を受けよ」 坂東「今週末?」 沙羅「昨日演舞したばかりよ」 神酒谷「ではお前の持っているクリーニングの請求書。振攻会で支払う条件はどうだ?」    坂東、少し考え、 坂東「分かった。演舞を受けよう」 神酒谷「良い返事だ」    去って行く神酒谷。    坂東が鳴に手を合わせる。 坂東「鳴、こんな時にごめん。演舞を頼めるかな」 鳴「また踊れるの! 任せて」 沙羅「待って! 演舞してる場合? 部屋の片付けは?」 鳴「もう私の家じゃないから知らない。今日も練習するから。じゃ」    と去って行く鳴。 沙羅「ぜんぜん反省してないんだから!」    怒る沙羅と苦笑いの坂東。 ○帯屋町高校・外観(朝)    登校する生徒達の姿。 ○同・教室(朝)    席に座る坂東。急いでやってくる沙羅。 沙羅「響紀、大変よ!」 坂東「朝からどうしたの?」 沙羅「出たのよ! 地方部の倉庫に」 坂東「ゴキブリならいるよ」 沙羅「違う! 幽霊よ」 坂東「幽霊?」 沙羅「吹部の先輩が下校するときに見たの! 倉庫の中に妖しい光を」    ×  ×  ×    (回想)日没後の校庭。帰宅する吹奏楽部員(17)、ふと足を止める。    地方部倉庫が妖しく光る。    ×  ×  ×    坂東の顔が引きつる。 坂東「見間違いじゃ」 沙羅「確かめに行かなきゃ」    やってくる鳴。鳴の顔が少し汚れている。眠そうにあくびする鳴。 坂東「おはよう鳴」 鳴「おはよう」    と鳴、そのまま席に座る。坂東、鼻をスンスンと鳴らす。 坂東「あれ?」 沙羅「どうしたの?」 坂東「変な臭いがしたような」    と首をかしげる坂東。 ○同・地方部倉庫・外(夜)    ライトを持ち忍び足で近づく坂東。その後ろに続く沙羅。    周囲に、人の気配はない。 坂東「やっぱり見間違いだよ」    沙羅、何かに気付き驚く。
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