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神酒谷「私は、土佐行政特別区のガス、水道、消防事業の統括責任者だ。椿様のご命令で来た」
坂東「椿姫?」
神酒谷が鳴の鞄に目を移す。鞄から、鳴子が少し出ている。
神酒谷「どうやら鳴子石は無事のようだな。坂東響紀、今週末私の演舞を受けよ」
坂東「今週末?」
沙羅「昨日演舞したばかりよ」
神酒谷「ではお前の持っているクリーニングの請求書。振攻会で支払う条件はどうだ?」
坂東、少し考え、
坂東「分かった。演舞を受けよう」
神酒谷「良い返事だ」
去って行く神酒谷。
坂東が鳴に手を合わせる。
坂東「鳴、こんな時にごめん。演舞を頼めるかな」
鳴「また踊れるの! 任せて」
沙羅「待って! 演舞してる場合? 部屋の片付けは?」
鳴「もう私の家じゃないから知らない。今日も練習するから。じゃ」
と去って行く鳴。
沙羅「ぜんぜん反省してないんだから!」
怒る沙羅と苦笑いの坂東。
○帯屋町高校・外観(朝)
登校する生徒達の姿。
○同・教室(朝)
席に座る坂東。急いでやってくる沙羅。
沙羅「響紀、大変よ!」
坂東「朝からどうしたの?」
沙羅「出たのよ! 地方部の倉庫に」
坂東「ゴキブリならいるよ」
沙羅「違う! 幽霊よ」
坂東「幽霊?」
沙羅「吹部の先輩が下校するときに見たの! 倉庫の中に妖しい光を」
× × ×
(回想)日没後の校庭。帰宅する吹奏楽部員(17)、ふと足を止める。
地方部倉庫が妖しく光る。
× × ×
坂東の顔が引きつる。
坂東「見間違いじゃ」
沙羅「確かめに行かなきゃ」
やってくる鳴。鳴の顔が少し汚れている。眠そうにあくびする鳴。
坂東「おはよう鳴」
鳴「おはよう」
と鳴、そのまま席に座る。坂東、鼻をスンスンと鳴らす。
坂東「あれ?」
沙羅「どうしたの?」
坂東「変な臭いがしたような」
と首をかしげる坂東。
○同・地方部倉庫・外(夜)
ライトを持ち忍び足で近づく坂東。その後ろに続く沙羅。
周囲に、人の気配はない。
坂東「やっぱり見間違いだよ」
沙羅、何かに気付き驚く。
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