第3話『鳴のいる場所』

4/13
前へ
/15ページ
次へ
沙羅「倉庫の中、今何か光った!」 坂東「そういうの良いから!」    坂東と沙羅、恐る恐る倉庫に近づく。 ○同・地方部倉庫・内(夜)    鍵を開け入ってくる坂東と沙羅。 坂東「ほら、誰もいない」    と坂東が後ろの沙羅に笑いかける。    沙羅、顔がこわばり指さす。 沙羅「響紀、前……前」    坂東の前に立つ人影。    恐怖に顔が引きつる坂東と沙羅。    坂東がライトで人影を照らす。    そこに下着姿の鳴。ボディシートで汗を拭いている。鳴の背後にはテント。    坂東と沙羅の悲鳴。    と沙羅が、慌てて鳴と坂東の前に割って入る。 沙羅「わー! 響紀、(下着姿の鳴を)照らすな!」    不思議そうに見ている鳴。 ○山村家・外観(夜)    二階建ての洋風建築。    表札に『山村』の文字。 ○同・ダイニング(夜)    食卓の椅子に座る坂東と沙羅。    夕食が並べられている。    鍋を持つ山村布由子(41)が近づき、食卓に鍋を置く。 布由子「響紀ちゃんが来るの、久しぶりね」 坂東「おじゃましてます」 布由子「おまけに可愛い彼女を連れてくるなんてね」 沙羅「違う。ただの部員だから!」 布由子「折角だから晩ご飯、食べて行ってね」 坂東「(苦笑いで)ありがとうございます」    と布由子がキッチンに戻る。    (沙羅の)ジャージ姿で鳴が来る。風呂上がりで髪が濡れていて、首にタオルを掛けている。 坂東「鳴、ご飯食べよう。おばさん……沙羅のお母さんが作ってくれたんだ」    頷き椅子に座る鳴。    ×  ×  ×    食後。食器を片付ける布由子。    沙羅が、湯飲みのお茶を食卓に置く。    食卓を囲む坂東、鳴、沙羅。 坂東「じゃあ住む家がなくて、倉庫で野宿してたの?」 鳴「うん」 沙羅「あなたご両親は?」 鳴「親はいない。いるのは師匠だけ」 坂東「師匠?」 鳴「そう。ゆすはら流神楽の師匠」 沙羅「じゃあ、その師匠に連絡した方が良いわね」 鳴「無理! それはできない」    布由子がビニールの包みを持って近づく。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加