第3話『鳴のいる場所』

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   沙羅の指が、ラジカセのスイッチを押す。と曲が止まる。    沙羅が鳴の腕をつかむ。 沙羅「来るのよ!」 鳴「ちょっと、何!」    沙羅に引っ張られながら、鳴が商店街を去る。 ○帯屋町高校・教室(夕)    隣同士で椅子に座る坂東と鳴。    教壇に沙羅。 沙羅「今から踊り子衣装を作ります」 鳴「えー、面倒くさい」 沙羅「そこ静かに!」   苦笑いする坂東。 沙羅「まず衣装のテーマから。響紀、意見を」 坂東「鳴が踊りやすい衣装が良いんじゃないかな。鳴は?」 鳴「私は、何でも」 沙羅「だめ! 意見を出す」    嫌そうに声を上げる鳴。    ×  ×  ×    机を囲む坂東、沙羅、鳴。    ノートには衣装のテーマが書かれている。 沙羅「次はデザインね」    と立ち上がる沙羅。 ○同・放送室(夕)    扉を開ける沙羅。 沙羅「放送部!」    振り向き沙羅を見つめる放送部員A(16)、放送部員B(16)。 沙羅「パソコン貸して!」 放送部員A「何だい! 山村君」    続いて入ってくる坂東と鳴。 坂東「衣装を作りたいんだ。急にごめん」    と手を合わせる坂東。 放送部員B「坂東部長……」 放送部員A「地方部の頼みなら喜んで!」 放送部員B「坂東部長には、機材の点検とかお世話になってるからな」 坂東「ありがとう。じゃ、さっそく……」    坂東がPCの前の椅子に座ろうとする。    と沙羅が、坂東の肩をつかむ。 沙羅「響紀はここまでよ」 坂東「どうして?」 沙羅「地方機の整備があるでしょう。後は私たちに任せて」 鳴「私たち?」 沙羅「そうよ。あなたもやるの」    嫌そうな声を上げる鳴。 坂東「じゃあ頼んだよ。鳴、沙羅」    と笑う坂東。    ×  ×  ×    PCを操作する沙羅と鳴。    二パターンの衣装(白地に桃色の花の衣装と紺色に白色の花の衣装)のデザインができあがる。 ○同・被服室(夕)    扉を開ける沙羅。その後ろに鳴。 沙羅「次、手芸部!」    手芸部員A(16)、手芸部員B(16)、手芸部員C(16)が座って見ている。    沙羅が鳴の背中を押す。 沙羅「ほら」 鳴「地方部です。衣装を作りたいので協力してください……」    手芸部員A、手芸部員B、手芸部員Cが鳴を取り囲む。 手芸部員A「あなた転校生の踊り子よね」 鳴「(緊張気味に)……はい」
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