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○帯屋町商店街・歩道(夜)
鞄を掛け、走ってくる坂東。雑貨屋の前で立ち止まる。雑貨屋の一部、シャッターを降ろしている。
坂東「(息を切らして)間に合った」
祭谷の声「坂東君?」
祭谷龍馬(28)が坂東に近づく。
坂東「祭谷さん!」
祭谷「息を切らして、どうしたが?」
坂東「今日中に買いたいものがあって。(思い出し)そうだ」
坂東、鞄からチラシを取り出す。
坂東「明日の演舞。これチラシです」
坂東からチラシを受け取る坂東。
祭谷「ありがとうね」
坂東「それじゃあ」
と坂東が雑貨屋に入っていく。
祭谷、チラシに目を移す。
祭谷「なになに、梅の路演舞……。(何かに気付き)おお、こりゃあすごい!」
祭谷、目を見開く。
○梅の路演舞場・外観
住宅街に囲まれた二車線の道路。道路は緩やかな曲線。両脇の歩道は観客で賑わっている。
○同・歩道
小包を抱えやってくる祭谷。
中山(29)と岡田(29)が待っている。
中山「祭谷さん、今度は一体どこに?」
祭谷「これを買うてきた」
祭谷が小包から、独楽を取り出す。掌の上の独楽には、『おかめ』、『ひょっとこ』、『天狗』の絵。
岡田「独楽ですか?」
祭谷「これで楽しい遊びができるがやき」
岡田と中山が困ったように目を合わせる。
× × ×
道路の真ん中に立つ神酒谷とその地方機UMN-3。踊り子衣装の神酒谷、首に『おかめ』、『ひょっとこ』、『天狗』の杯を掛けている。UMN-3の頭には、同じく『おかめ』、『ひょっとこ』、『天狗』のお面が乗っている。
車道で対峙する坂東と鳴。その背後に地方機OBI-1。
歩道側には接待所(給水所)のテントがある。
歩道から見つめる沙羅と藤間修次(29)。周囲の大多数が大人の観客。
沙羅「先生、今日は大人が多くない?」
藤間「ああ、この演舞場では『あるもの』が振る舞われるからな」
沙羅「あるもの?」
坂東が鳴に近づく。
坂東「演舞の前に渡したいものがあるんだ」
鳴「何?」
坂東の手に花かんざし(髪飾り)。
鳴「花かんざし?」
坂東「衣装のお礼。鳴に似合うと思って」
笑顔になる鳴。
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