名馬シュバババババババ（波乱の初陣 ２０２４～２０２５年）

桜花ステークスに向けて

　間もなく茨城県の稲敷トレーニングセンターに到着した。馬運車のドアが開き、チャチャカグヤとシュバが出ると、彼らは目を丸々と開いた。
　なんと、目の前には懐かしい牡馬ドドドドドドドドドの姿がある。
『父上！』
　チャチャカグヤが嬉しそうに駆け寄ると、ドドドはにこりともせずに言った。
『桜花ステークスに挑戦するそうだな』
『はい』
　チャチャカグヤもまた表情を引き締めた。
『お前が苦労して勝ち上がったように、クラシックに挑戦する競走馬は、血反吐をはき、身を削りながら戦いに臨む』
　そこまで言うと、ドドドは何かを思い出すように遠くを眺めた。
『お前がこれから争うのは、そういう連中だ』
　その瞳がシュバを映した。
『恥ずかしい話だが…私も、当時の駿馬たちに追われる夢を見るくらいだ』
　シュバもまた、以前競走して惨敗したバスタードブラックを思い出しているのだろう。未だに１３馬身差をひっくり返されたことが脳裏に焼き付いているようだ。