桜花ステークスに向けて

7/8
前へ
/351ページ
次へ
 翌日から、真丹木きゅう舎はチャチャカグヤのトレーニングに全力を挙げた。チャチャカグヤのすぐそばに、かつての6冠馬ドドドドドドドドドが走っているが、その威圧感は相当なものだ。  すぐ後ろを走るシュバも、その異様な闘志を感じ取ったようだ。 『これほどの威圧感は僕では出せない…さすがは父さん』 『シュバ、お前ももう少しチャチャにプレッシャーをかけろ!』 『わかった』  ドドドがそう言ったところで、体重390キログラムのシュバでは、チャチャカグヤにプレッシャーを与えることは難しい。 『それなら、嫌らしい動きをしようかな…?』  彼が牙を剥いたのはコーナーに入る30メートルほど手前だった。その小さな馬体を利用して彼女の前に飛び出したシュバは、チャチャカグヤの斜め前に陣取った。ここに立たれると、チャチャカグヤもカーブを走りづらくなる。 『コーナリングが上手なだけあって、楽をさせてはくれないわけですね』 『どうしたチャチャ! その程度か!?』  ドドドに言われると、チャチャカグヤは鋭く父と弟を睨んでコーナーを駆けた。
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加