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2024年4月 桜花ステークス
その日、阪神競馬場の馬房にいたシュバは、ソワソワと尻尾を振っていた。長い間、姉と併せ馬を行っていたので、自分がどれだけ役立ったか気になるのだろう。
シュバは落ち着きなく視線を動かすと、その瞳には時計が映り込んだ。
『そろそろかな?』
彼が鼻先でタブレット端末を操ると、画面にはゲート前を動き回っているチャチャカグヤの姿があった。
彼女はオレンジ色と赤のチェック柄の覆面を付け、背には武田三四郎騎手を乗せている。今日の彼女は54キログラムの重量を背負って、この時計回りの阪神競馬場の外回り1600メートルを走ることになる。
間もなく、18頭の駿馬たちは1頭ずつゲートに入りはじめた。今回の1番人気はチャチャカグヤだが、単勝倍率は1.5倍と前回に比べれば控えめな数字になっている。
シュバの目の前でチャチャカグヤもゲートインした。彼女は気負い過ぎず、リラックスし過ぎずといった、ちょうどよさそうな顔でゲートの先に広がるコースを眺めている。
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