2024年4月 桜花ステークス

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『…動いた!』  シュバがそう呟くと、新発田恵騎手がひょっこりと顔を出してシュバの眺めているタブレットを覗き込んだ。自分のスマートフォンでは画面が小さすぎるのでシュバのものを見ようと思ったのだろう。  その画面の中では、トップを走るチャチャカグヤを目掛けて、1頭の牝馬が猛烈な追い上げを見せていた。  その覆面にはバラの花びらが描かれている。かつてチャチャと2度にわたって激戦を繰り広げた駿馬サイレントローゼンだ。彼女は3番手とは8馬身ほどの差を付けてチャチャカグヤに迫る。  チャチャカグヤは既に第4コーナーを走破し、470メートルの最終直線をひた走っていたが、サイレントローゼンは少しずつ彼女との差を詰めていく。  直線コースは残り300メートル。チャチャとローゼンの差は5馬身。  残り250メートル。2頭の差は3馬身。  残り200メートル。2頭の差は1馬身半まで迫った時、彼女たちの前には阪神競馬場の坂道が姿を見せた。
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