カグヤの名に懸けて(東京優駿)

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 東京優駿。格付けG1。距離2400メートル。反時計回り。芝の状況は良好。  天候、曇り。競技場に強めの風。18頭。優勝賞金2憶円。重量負担、牡57キログラム、牝55キログラム。  2025年度の頂上決戦が今、始まった。  先頭を走るのは、なんとシュバババババババ。ぐんぐんと先行馬たちを突き放し、3馬身、4馬身と前に出ていく。この行動にはライバルたちだけでなく、すべての観客や実況者の度肝すらも抜いたようだ。 『こ、この逃げ切りの難しいコースで!?』  ウマナミジミーがそう呟くと、リトルマンモスは『ついに狂ったか』と囁いた。冷静なのは隣を走るマンモスウォーリアくらいだろう。 『ヤツが勝算のない行動をするとは思えない。油断するなよ』 『わかっている』  先ほども書いたが、東京優駿の距離は2400メートルある。  当競馬場は、1600メートルのマイル戦でも、中距離戦と同じくらいの体力を消耗する悪名高さを持っている。ふつうの逃げ馬が走ったところでスタミナ切れを起こして先行馬に捕まるのがオチだ。
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