カグヤの名に懸けて(東京優駿)

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 第4コーナーでシュバの俊足が蘇った。一時は4馬身差まで追いつかれた2番手との差が広がっていく。  勢いは衰えることなく、シュバは最終直線コースに一番乗り。2番手との差は10馬身近くまで広がっていた。  2番手の位置にいたのは、なんとヒダカダーロ。彼は差し馬としての技術を用いて馬群をかいくぐり、いつの間にか好位置につけていた。  そして3番手でシュバを追うのはウマナミジミー。どうやら彼もそれほど砂の風の影響を受けなかったようだ。そのすぐ後方には、葦毛の牝馬ラ・コンテス・ド・ペルルの姿がある。  シュバとゴールまでの距離は、およそ500メートル。  シュバとヒダカダーロとの差は10馬身、およそ24メートル。  ヒダカダーロとウマナミジミーの差は1馬身半。  ウマナミジミーとペルルの差は1馬身。  彼らにとって、この最後の坂道は戦いなれた場所であるが、普段と違うのはその体力だ。シュバがハイペースで逃げたため、ライバル全員はすっかり疲弊し、汗まみれになりながら懸命に走っている。
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