無名の天才馬

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 チャチャカグヤのお願いに、シュバは慎重な姿勢を崩さなかった。 『弥生アサルトインパクト記念は、優勝賞金5000万円のレースだからね。おいそれとかたき討ちの約束はできないよ』  シュバはタブレット端末に目を向けると『ただ…』と発言して言葉を繋いだ。 『あのジェントルキャロトという競走馬のことは調べてみる。脚質から鼻の穴の直径まで調べ上げれば、何かしらの対策が取れると思う』  その直後にシュバは目と鼻孔を大きく開いた。これは親しい相手しか見せない変顔の一つドヤシュバである。チャチャカグヤも笑った。 『それでこそ、私の弟です』  2頭が笑いあっていると、その話を聞いていた新発田恵騎手はうすら寒そうに苦笑していた。彼女には特異な力があり、動物が何をしゃべっているのか理解できるようだ。 「どうやって、調べるんだろう…?」  間もなくジェントルキャロトのことは、様々な競馬新聞や雑誌が報じた。無敗の牝馬チャチャカグヤが敗れたことは、関係者たちを大いに驚かせたようだ。
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