無名の天才馬

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 シュバはじっとカレンダーを見ながら言った。 『姉さんが、桜花ステークスを目指すのか卯月賞を目指すのかで…この後の予定も変わりそうだね』  シュバの言いたいことは実は単純で、牝馬限定の大会に出るか、牡馬たちの大会に出るかという質問である。 『個人的には、強い牡馬たちと競争したいところですが…牧場の経営も大変ですからね。賞金を優先した方がいいのではないかと思います』  シュバも苦笑いしながら頷いていた。  シュバとチャチャカグヤの馬主は、いわゆるオーナーブリーダーだ。仔馬を売って確実に儲けられる牧場主とは違い、本当に強い馬を育てて大会で賞金を取らなければオーナーの懐は潤わない。そのため、グランパ牧場の経営もとても不安定なものになっている。 『まあ、母体がグランパグループだから、すぐに潰れるようなことはないけど…』 『もし赤字になったら、他の部署から突き上げられますからね』  そういうとチャチャカグヤは期待に満ちた目をシュバに向けた。 『…なに、その顔は?』 『シュバがダービー馬になって、種付け料をたくさん取れればみんな幸せです』 『姉さん、雲をつかむような話をしないで』
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