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 コンビニから歩道へ出ると、車道に近いほうを賢治がさり気なく位置取った。私を危険から守ってくれているらしい。車なんて全然通らないような道なのにね。  普段から性別を意識していない私でも、賢治といると自分は女の子なんだなって時折実感させられる。  なんとも歯痒い感覚だ。  最初は過度な紳士っぷりに戸惑ったけど、慣れてくると存外居心地が良かったりする。 「にっははは」 「なんだよ急に笑って……。変な電波でも受信したか?」 「ミヨンミヨン、ただいま変な電波を受信中――って違うよ! 賢治と初めて会った日のことをちょっとだけ思い出してたの」 「なんでまた? お前の突飛さは、未だに予測がつかないな」  賢治は苦笑した。  話題を変えるようなら深堀せずに流そうかと思っていたけど、賢治は昔を懐かしむように瞑目していた。  良かった。少なくとも賢治にとって、私との出会いの日は酸っぱいだけの思い出ではないってことだ。 「あん時のお前には恐れ入った」  含み笑いで賢治は語り始める。  恐れられるようなこと、私したか?  それも含めて、目的地までまだ距離があるようなので、懐古談に花を咲かせながら賢治との出会いの日を思い起こしてみよう――。
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