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「園田さん久しぶりだね。その着物も似合ってると思うよ」 「うそー、嬉しい! 妙って呼んでいいよー。一人なのー? 良かったら私たちと一緒にお祭りまわろー」  話が勝手に進んでいく。  妙ちゃんがそうしたいなら、私は構わない。  途端に手持ち無沙汰になった私は、目と鼻で甘くて美味しい物を売っている出店を探しておく。 「さっきまで友達といたんだけど……雨宿り先を間違えて孤立したみたい。あーでも、携帯あるから問題はないよ。それで、そっちの子と強めにぶつかっちゃったんだけど、大丈夫かな」 「私?」  少年が心底心配した顔で私をみてくる。  さっきの妙ちゃんに遮られた謝罪で済んだ話だと思っていたけど、少年の心はまだ晴れていないらしい。  非はこちら側にあったから、彼が許してくれればそれで良さそうな気もするけど。  ――私に怪我はない。肩に乗っているスーも問題なさそうだ。 「にはは。私なら大丈夫、気にしないで」 「なら良かった。そうだ、ちょっと待ってて、お詫びに奢るよ」  予想外の展開に「え!?」という文字が顔にまんま反映されたであろう私に背を向けて、少年は出店の人と交渉を始めた。 「狩野 賢治くんって言って、私たちと同い年だよー。学校は違うけど、近くに住んでるんだー。中学に上がったら、スミちゃんも同じクラスになるかもしれないし、今のうちに仲良くしといた方がいいよー」  妙ちゃんが隙を見て頼んでもいない情報を耳打ちで教えてくれた。このお話癖は彼女の趣味のようなものだ。 「そうなんだ。仲良くかー」  特に意識しようとは思わない。気が合えば自然と仲良くなるだろうし、逆もまたしかり。  程なくして、プラスチックの容器に入った青い山と赤い山のかき氷を手にした賢治が振り返る。  まさかまさかではあるけど、まさか賢治はこれを私たちにくれようというのか? ぶつかったのは私のなのに……。
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