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「そういや光精には四葉のクローバー的なノリで、見つけると小さな幸せが訪れるというジンクスがあったよね?」  私が声を弾ませて聞くと、賢治は数瞬だけ視線を彷徨わせた。 「だ、だからなんだよ」 「賢治……努力して掴み取らないと、本当の幸せは手に入らないんだよ?」 「所詮はジンクスなんだから、本気で信じる奴は少数派だ。良いよなお前は、いつも笑顔で楽しそうで」 「いんやー、それほどでも」  どんな内容でも人に褒められると幸せ回路が回りだす。  賢治はよく褒めてくれるから、最高の相棒だ。その内の半分が皮肉か嫌味だけど、私の脳内環境に区別する項目はない。 「自慢だけど、成績以外で悩みはないよ!」 「その条件付きの幸せは、絶対に真似したくない」 「そう連れないこと言わないで、賢治も私と一緒に幸せになろうよー」  私が賢治の肩を軽くゆすると、照れくさそうに嫌がった。  私より平均が二、三十点高いくらいで、優越感に浸れて嬉しいのか? このー、このー! 「俺を堕落の道に引きずり込もうとするな。……たまにさ、お前の言うことがどこまで本気なのか分からなくなる時があるよ」  賢治の顔がほんのりと赤くなっている。ちょっと揺さぶりすぎてしまったか。 「ごめんごめん、にはは。――私も考えなしに話していることあるからねー。そう言えばさ、結婚式の時に集めてきた光精を一斉に放出する演出あるじゃん。あれもその場にいる皆が幸せになりますようにって意味があるんだって。私の結婚式は賢治にも居てもらうからね」  賢治は目をぱちくりさせた。  特段、変わったことを言ったつもりはない。結婚式に賢治を招くのは当然じゃないか。 「ちなみにその時の俺って、友人として、なのか?」 「ん? そうなるね」 「そうか。まあ、そうだよな……」  賢治は見逃してしまいそうなほど微かに肩を落とした。  私の伝え方が悪かったみたい。 「違う違う、ごめん今の無し。賢治は友人としてじゃないよ!」 「ってのは、つまり?」  賢治の角度のついたおでこがスッと立ち上がる。
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