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副館長から怜音くんがいなくなったことを聞いた私は、好きだという想いどころか、別れの言葉さえ言えずに怜音くんと離れてしまったことがショックで、しばらく副館長と慰め合いながら過ごしていた。
もし怜音くんが戻ってきたら、絶対に自分の気持ちを伝えようと思っていたんだけど、今私は迷ってしまっている。
夏休みが終わったら、また怜音くんはパリに帰っちゃうんだと思うと、告白するのが正しいことなのか自信が持てなくて。
それに、もし怜音くんと気まずくなって、加住水族館に行けなくなってしまったら困るし。
*
「はあ? あんた頭大丈夫なの。クラゲを見に行けなくなるから告白しないなんて。だから、クラゲバカだって言われるんだよ、海月は」
「しーっ! 声が大きいってば」
珠理が大きな声を出したせいで、グループにわかれてお弁当を食べていたクラスメイトたちが、一斉にこっちを振り返ってしまった。
彼女は中学からずっと仲良くしてくれている私の親友だ。
ちょっと思ったことを言いすぎるところはあるけど、社交的だし、クラスの人気者。
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