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未だにクラスメイトのほとんどと話したことがない私とは似ても似つかないんだけど、ずっと仲良くしてくれている。
「クラゲバカなんて言うの、珠理だけだし……」
「長年片思いし続けているクラゲ王子が帰国したんでしょ」
「怜音くんは副館長の息子なだけで、クラゲじゃないんだから」
「はいはい。王子」
「王子でもないし」
「はいはい。わかった、わかった。怜音ね、怜音」
そんなことはどうでもいいと言うように、珠理はおざなりな返事をした。
「クラゲでも王子でもどっちでもいいけど、絶対告白すべきだよ。しない理由がどこにあるわけ」
フォークに刺さったうずらたまごを、私の方へ向けながら珠理は不満気に言う。
「だから理由はさっき言ったもん」
「そんなの理由になるわけないでしょ。夏休みの間に彼氏がいるなんて最高じゃない? いいじゃん。フラれたって、どうせ夏が終わったらいなくなるんでしょ。好都合だと思うけど」
「好都合じゃないよ。怜音くんも水族館に手伝いで来るみたいだし、気まずくなるのは困るの」
「ふーん」
「ふーんじゃない。私にとっては大事なことなんだから」
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