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「海月ってホント真面目。そんなこと気にしていたら、彼氏なんかできないよ」
呆れた様子で言いながら、珠理はパックのフルーツジュースを吸い上げている。
「私は彼氏が欲しいんじゃなくて、怜音くんのことが好きなだけなの」
「海月の一途さは異常だもんね。七年も片思いとか、ほぼストーカーじゃない? そろそろ彼女に昇格するか、フラれておかないと危ない人だよ」
「ストーカーじゃないし……」
珠理はパックを傾けて底に残ったジュースを飲もうとしているらしい。結局、残っていなかったのか、名残惜しそうにパックを机に置いた。
「どうせ怜音くんは私なんか恋愛対象じゃないと思うし、やっぱりやめる」
「なんでよ! 次のチャンスなんて来ないかもしれないじゃん」
「そうだけど……。私、加住水族館が閉館するまでは毎日クラゲを見に行きたいの。閉館しちゃったら、クラゲの観察ができなくなっちゃうし、副館長に質問とかもできなくなっちゃうんだから」
「今クラゲと王子を比べた? そんなことある。そこ、比べるところじゃないよ」
珠理は信じられないという顔をしたと思うと、ペチンと私の額を叩いた。
「痛っ」
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