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「ダメだよ。そんなことしたら! 怜音くんはお手伝いをするだけで飼育員じゃないんだからね。だいたい珠理は、怜音くんのことを見たこともないくせに、王子だのイケメンだのって」
「見たことあるって。海月が子供の頃、水族館のクラゲクイズで優勝したって言っていた写真に写っていたじゃん。横顔だけだったけど超美少年だったよね。こんな田舎じゃなかったら即スカウトが来そうな感じの。成長の程はわからないけどさ。イケメンじゃないならクラゲ男って呼ぶけどいい?」
クラゲ男! なにその妖怪みたいな名前。
「やだ。怜音くんはかっこいいし、クラゲ男なんかじゃないもん」
「ほらね。かっこいいんじゃん。その水族館ってホームページとかないの?」
「市の公式ページに案内は載っているけど」
私がスマホで加住水族館の案内ページを見せると、珠理はなんとも言えない顔をした。
「これじゃ人なんて来ないよ。インスタとかやればいいのに。今クラゲ大人気なんだからさ、アピれば、少しは人が来るんじゃない?」
「クラゲって、人気なんだ」
加住水族館はあんなに閑散としているのに。
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