3. バックヤードで会う時は side怜音

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「怜音くん、遅くなってごめんなさい」 「ううん、全然遅くなんかないよ。相変わらず副館長と仲良しだね。僕よりもくらげちゃんのほうが、副館長と仲がいいんじゃない?」 「そうでしょうか。怜音くんがいなくなってから、副館長とっても寂しそうでしたよ」  本当にそうなんだろうか。僕と話している時よりも、昔から親父はくらげちゃんといる時のほうが、楽しそうに思えるんだけどな。 「いつもどんな話をしているの?」 「あ……、えっと、色々です。クラゲのこととか」  くらげちゃんは言いにくいことでもあるのか、口を濁した。 「そっか」  気になりつつも、それ以上訊くわけにもいかず、僕は話を変えることにする。 「今日はいつもと雰囲気が違うね。昨日は背伸びしない女の子の方がいいなんてって言ったけど、今日みたいなくらげちゃんもいいね」 「友達がやってくれたんです。恥ずかしいので、あまり見ないでください」  くらげちゃんはそう言って、色づいた唇を巻き込んで隠すと下を向いてしまった。 「なんで? せっかく可愛くして貰ったなら、見せてくれたらいいのに」
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