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「はい。でも、僕は研究者には向いていなさそうなので」
「研究だけが道じゃないと思うけどねえ」
別の道があるという意味なんだろうか。飼育員になるという意味なのかな。それも簡単な道じゃないと思うけど。
「ありがとうございました」
満足したのか、くらげちゃんはにこにこしながら僕らのほうへ歩いてきた。
この笑顔だもんな。僕といるよりも、ずっと幸せそうだ。
「良かったね。くらげちゃん、めちゃくちゃ嬉しそうだ」
「え、……そうですか。ポリプが見られたのが嬉しくて、今日眠れないかもって思っていたんです」
喜びが顔に出ていたことが恥ずかしくなったのか、くらげちゃんはペチペチと頬を手のひらで押さえている。
「そんなに喜んでくれると嬉しいなあ。クラゲガールみたいな子がいないと、これからの研究者が育っていかないからね。興味を持ち続けてくれる若い子たちがいるのはいいことだねえ」
片岡さんは頷きながら顕微鏡を覗き、またポリプに餌を与えだした。
「ドフラインクラゲをポリプから育てるのは難しいんだよねえ。小さくてねえ。なかなか餌を上手く食べてくれなくて、手間がかかるんだよ」
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