3. バックヤードで会う時は side怜音

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「確かにちっちゃなポリプが、ブラインシュリンプを食べるのは難しそうですもんね」 「そ。なかなかポリプから育てられないクラゲが多いのは、食性がわからないからでもあるんだよ。こうやってプランクトンを食べるのもいれば、クラゲを食べるやつもいたりしてね。クラゲガールが研究をしだす頃には、もっとクラゲの生態が明らかになっているといいねえ」 「はい! 片岡さん、こっちの水槽をもう少し見ていてもいいですか?」 「もう少ししたらここを離れるけど、それまではいいよー」 「ありがとうございます」  くらげちゃんは、久しぶりに入ったバックヤードに興味津々の様子だ。  頑丈そうな天井まであるスチール棚には、大小様々な水槽、ビーカー、シャーレなんかが所狭しと並んでいる。細いチューブでブクブク送りこまれているのは酸素だ。  ビーカーやシャーレの中にも、エフィラやポリプといった普段展示されることのない、育成中のクラゲたちがいる。  顔を近づけないと見えないような大きさのそれらを見せてあげると、くらげちゃんは昔からとっても喜んでくれる。
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