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怜音くんに引きずられるようにして、私は水族館を出ることになった。
どういうことなんだろう。
デート? 怜音くんと?
突然過ぎて、頭がついていかない。
「親父、ちょっとくらげちゃんと出かけてくる。送ってから帰ってくるから、少し遅くなるかも」
事務室から覗いていた副館長は、あたふたしている私へ満面の笑顔を向け、指でハートマークを作って首を傾げた。
副館長違うの、告白が上手くいったんじゃないんだからね。
怜音くんに連れられるまま、私はバス停に来たバスに乗っていた。
「ちょうど、バスが来る時間だなと思って。乗れて良かった」
バスは家に帰る方向とは逆に向かっているようだ。
座席に腰掛けても、まだ何が起こったのかわからなくて、私はさっきまで繋がれていた自分の手をじっと見つめていた。
「あ、あの怜音くん、一体どこに行くんですか?」
「浜辺のあるところ。ほら、いつもくらげちゃんと会うのは水族館の中だからさ、たまには本物の海に行ってもいいかなと思って」
「海ですか?」
「あ、もしかして海は嫌い?」
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