また冬に会おう

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そして春風が吹く前にケリーは自身の仕事が始まり元の自分の住まいに帰って行った。 「何か土産が欲しければ、あと俺が恋しくなったら連絡をくれ」 そう言って手渡されていた彼の連絡先や住所が書かれた紙切れを私は屑入れに放った。 昨日二人でストーブや雪を掬うスコップなどといった冬の物を倉庫に仕舞っていた時、ケリーはチェスを大切に箱の中に収めて棚の上の隅に置いていた。 黙ってても彼は来るのだろうし、その時は彼の前で私はただの女に戻る、それだけの話だ。 何よりケリーの言う通り。 「私たちの人生は長いからね」
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