また冬に会おう

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「……ッ()う」 目覚めて起き上がろうとして、まず腰に痺れと脱力感を感じた。その分腿に重心を置こうとするとこちらは激しい筋肉痛。 肩も、…体中がミシミシと音を立てているようだった。 体力に自信が無い方では無いのだが、流石に昨晩はこっぴどくやられ過ぎたらしい。 「おはよう、ゴーダ。水汲みだとか朝の家事は一通りやっといた。体が辛いだろ? ここで一緒に飯を食おう」 誰のせいだと思ってる。 パンや卵が乗せられているトレイをベッドのサイドテーブルに配するケリーを恨めしげに見た。 そんな私の視線に気付いた彼が悪びれもなく口を開く。 「優しい女程、やった後にダメージが残る。だから再三何も考えるなと忠告したろう。今日は休んでるといい、予定があったなら俺に指示だけくれればいいから」 何となく気付いてはいたが、ケリーは有能な男だった。 力仕事や家事のみと言わず、頭も切れてここの周囲の人間と打ち解けるのもあっという間だった。 それからこれは意外だったが、最初の夜以来、彼が私を抱く事は無かった。 二ヶ月後には素材の良さも相まって破格の値で売れそうなチェス盤と駒を作り上げ、吹雪の日などは二人でそれに興じ酒を楽しんだ。 「ゴーダ、客だぜ」 私の代わりに玄関に出たケリーが知らせに来た。 そしてうちに来る客は大体決まっている。 「録でも無さそうな奴なら追い返そうとしたんだがな」 「……余計な事はしなくていいよ」 リラといい、この間の男と言い。 普通は数年か数十年に一度だと言うのに。 「今年は来客が多い」 椅子の背もたれに引っ掛けていた膝掛けを羽織って玄関口で呟いた。 「あ、あの!ここの家が目に入りましたので……」 戸口には若い男が立っていた。 緊張しているのか慣れていないのか。その男をじっと見てくんと鼻を動かすと男の顔が真っ赤になった。 後ろからケリーが私に話しかけてくる。 「話が長くなりそうか?」 「多分」 「じゃ、俺は二、三日町に行ってるよ。ついでに備蓄の買い出しも兼ねて」 ケリーは私とその男の脇をついと通り過ぎ外に出て行った。 それを何となく目で追っていると、若い男が話し始めた。 「ぼ、僕は人の世界から来ました」 「……言わなくても匂いで分かるよ。私はゴーダ。家畜…失礼、羊か何か? こちらは犬族だが恐れなくていい。君の名前を教えてくれるかい?」
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