また冬に会おう

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また冬に会おう

窓ガラスから漏れる白々とした明かりでとっくに朝になっていたのだと気付いた。 私の傍らには眠っている男がいた。 彼の目が覚めない様静かにベッドから身を起こし、上着を羽織って乾いた喉を潤しにキッチンに向かう。 鍋に火をつけコーヒーを直接煮出す。 こんな時に飲む苦いコーヒーを私の体は欲さない。 だけど心は別なのだ。 窓を開け放し、外の林を眺めていた時に吐いた息が、葉を落として暗い色の木々を白く滲ませた。 ここにもそろそろ冬が来る。 昨晩訪ねてきた男。 人の世界に身篭った妻を残して来ていると言った。病魔に侵された彼女の代わりに、貧しい暮らしから抜け出て子供たちを育てたいと。 そして私と体を繋いだ。 「ありがとう。 僕は元の世界に大事な人を残してきているけど、貴女の事は生涯忘れない」 「私の事はむしろ忘れてくれて構わない。君の旅が前途あるものである事を願うよ」 「貴女の手にキスをして構わないか」 私の手を取り跪いて口を付けた男の、撓めた眉と唇が微かに震えていた。 私の名前はゴーダという。 死後の動物達が住まう世界に住んでいる。 そして人の姿を取ってはいるが、生前は犬として飼われていた。 そんな私の元にある日訪ねてきた来客は一風変わっていた。
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