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「へぇ、服、脱がしてくれんの?」
「たっぷりサービスしてやるって言ったろう?
ほら、洗い場はこっちだ」
「頭に身体まで洗ってもらえるなんて、至れり尽くせりだな」
ボサボサの頭を洗って気が付いた。
見た目硬そうだった焦茶の髪が、実は物凄く柔らかかったこと。
前髪を上げた顔立ちが、素晴らしく整っていたこと─髪と同じ焦茶の瞳は綺麗なアーモンド形で、精悍さの中に甘さのある、中々に魅力的な容貌だ。
肌が黒いのは日焼けかと思ったが元々が浅黒く、しかも確りついた筋肉は引き締まり、ゴツくもなく程好い肢体はブロンズ像のようだった。
何よりこいつの逸物…デカい。脹れたこれは中々に凶暴そうだ。
…身体、持つかな?なんて心配4割、好奇心と期待6割な自分に笑ってしまう。
この商売を好きでしてる奴は極僅かだろう。
そういう俺も【蜃気楼】に来る前は、娼館と名の付く所は地獄のようなところだと思っていた。
ここに来て、兄さん姐さん方に商売の仕方を教わると共に、『そういうモンだと割り切れ』とも教わった。
そういうモンだと割り切ったら、なるほど、上手く痴態を演じる自分に手応えを感じ、余裕ができてくると客のあれこれを観察出来るようになってきて、少しずつ面白味を持てるようになった。
気持ち良いのは悪くないから、好きではないが根っから嫌いでもないという今の自分が出来上がった。
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