act.2

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他の売れっ子達には侮蔑の視線を向けられる、俺のショートタイム制。 (いわ)く『売れっ子がガツガツ金稼ぎなどみっともない』という奴も居るし、『金の為に自分を切り売りするなぞ信じられん』という奴も居る─つまり、プライドは無いのか?と。 それはどんなシロモノなのか、欠片ももたない俺には分からない。 売れっ子としての自尊心(プライド)?─それで金が稼げるのなら幾らでも持ってやるが。 一人間としての自尊心(プライド)?─借金の形に売られた俺に人権が有ったとしても、借金が減らねぇんなら無意味だろ。 俺の夢─少しでも早く外の世界に飛び出す為には、まず借金を返済しなくちゃいけかった。 稼ぎ頭の俺が辞めさせてもらえるとは思えない。 店に余分な金を置いて行き、あわよくば逃亡とチャラにしてもらい、執拗な追手がかからないようにもしなくちゃいけない。 金は幾らあっても足りないくらい。 だから俺は誰が何と言おうとガツガツと稼がなければならないんだ! 「いや、フルタイムで良いよ。 オプションが何か分からんけど、風呂に入れてマッサージしてもらえると助かる。 んで、ゆっくり寝かせてくれ」 身体中バキバキなんだ、と若大将は笑った。 目元は長い焦茶の癖毛で見えず、どんな荒くれかと(いぶか)しくも思ったが、何となく笑った顔が可愛いとも思った。 「金をキッチリ払えるんなら、たっぷりサービスしてやる」 「ノった!」 こいつはどんな痴態を見せてくれるのか? 純粋に興味が湧いた瞬間でもあった。
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