01 猛獣使いになっていた

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目の前にいる、筋肉質の年上の男性は ここ1ヶ月以上、一緒に過ごした獣には見えない程綺麗な顔や身体をしている こんな容姿だと知ってたなら、あんなにキスはしてないし一緒に寝ては無かったと思う 190cmは超えてると思うぐらい高身長で 私との身長差があるにも関わらず、彼は嫌な顔を一つもせず、何度もキスを落とす それが余りにも出来た男過ぎて戸惑いすら生まれる でも、果物を取って来たりする辺り…出来た男というか、雄なのだろう 一つ気になるのは、唇にはキスをしないってこと… してくれてもいいのに…と思い自らの誘うように首へと腕を回し唇を重ねて見れば、リクは目を閉じ返してきた やっぱり知らなかっただけと分かればそこからは何度も唇は触れ合い、リクはゆっくりと腰を前後に動き始めた 只、気持ちよくて…身を委ねるように任せればキスが気に入ってる彼は、唇を重ねたまま膜を擦り、奥を突く 鼻から抜けるような声を漏らし、時折甘く喘げば彼の腰は一定の場所を攻めるように動く やっぱり私の好きなヶ所を探り当てながら、やっていくのだと分かったけど それがベスト過ぎて、頭は真っ白になる 「 あっ、ァ、アッ…!りくっ、りっ!くっ…アッ……っ、ぁっ! 」 重ねた唇が外れ、声を上げながら髪を掴み視線を重ねたり、外せばリクは少し息を荒くし腰の速度を速めた 質量があるそれは、中で完勃起したことで入り口の膜口はキツく引き攣るように開くと、内部の膜はそれに反して、熱い陰茎へと絡み付き奥へと招く 「 はぁ……ルナ…… 」 獣の時と変わらない低い声に名を呼ばれ、内部が反応する 猛獣使いとその猛獣だと言う立場なんて忘れるほどに、頭の思考は途切れ理性が崩れ落ちる 「 ぁあっ、あっ……!リク、いくっ、いっ…ぁ、アッ…!いくっ……あっ〜〜!! 」 「 はっ……ッ……! 」 奥を突かれた瞬間、目の前が真っ白になり 全身は反り上げ矢を放ったように反応する 達した瞬間に感じる、吹き出すような熱と汗に朦朧としていれば、膜に感じる熱く濃い液体は奥へと注ぐように入っていく それに気付いた時には、身体は震え膜は搾り取るようにきしつく締め付ける 珍しくリクの表情が苦しそうで、眉間のシワは寄せ目を閉じていた瞼は開き、私を見下げた 「 大丈夫か……ルナ? 」 「 大丈夫…じゃないかも……寝そう…… 」 「 嗚呼…おやすみ…ゆっくり休め 」 こんなに激しく求められたのは久々で、気持ちよさと脱力感で眠気がくれば 彼は内部から引き抜いてから頬へと口付けを落とした それからの記憶は切れて、いつの間にか眠っていた 次にベッドの上で目を覚した時には、リクはグリフォンの姿で眠っていた 此処まで運んで来てくれたらしいが、何となく居心地が悪い 全て夢なら良かったのに…そう思うぐらい生々しく残る身体を洗い流すよう、少し離れた泉へと脚を運ぶ 泉の中へと入り、身体を洗い流してから服を洗い濡れたまま身に着ける 「 あ、リクがいないと乾かない…… 」 身体を洗いたい一心で来てしまって、後々の事は考えて無かったが リクがいなければ、乾かす事が出来ないのを思い出し呆然と立ちすくす さて、どうしよう…… このまま、濡れた状態で帰ってもいいけど 出来れば乾いてから帰りたい とりあえず、もう少しゆっくりしようと陸へと腰を掛け、脚を水に入れたまま軽くバタつかせる 「 人の姿になれる獣か……。やっぱり自分の居た世界じゃあり得ないな…… 」 一人になるとリクの人型を思い出してしまう 美形だった、素直に納得出来るほどに 生きてきた中で関わることのない分類だと思うぐらいの存在 あんな獣に、触れていたのか…そう思うと自分のお気楽さに笑えてくる 「 人の姿…忘れよう…… 」 「 そんなに人型が気に入らなかったか? 」 突然と現れる事には慣れた 草へと背中を当てるように倒れた時に、目の前に見下げるグリフォン姿のリクがいた 金色のイーグルアイの瞳をした彼はどこか不安そうに此方を見詰める 「 そうじゃない……。只、美形過ぎて…まともに見れない 」 「 は? 」 は?とか言われたんだけど…… 素直に言ったら首を傾げられた事に、僅かに腹が立ってきた 「 だって…美形なんて聞いてないし…… 」 「 それは、俺の容姿がルナにとって良いものだったと言ってるのか? 」 「 ………言い方が 」 嗚呼、この鳥頭……自分が美形だと言う事は無自覚なんだ だから敢えてどんな姿が好きなのか聞いてきて、それに変形しようとしたんだ もし、私が想像する美形になってたなら… リクのあの顔は一生拝めなかっただろうね 私の基準は余りにも低かったからこそ、彼の様な容姿が想像出来るわけがない 「 そうではないのか?俺の顔は嫌いか? 」 馬鹿と言いたい程に目の前のグリフォンは、瞬きをする間もなく、人の姿へと変わった 夜に見た欲を浮かべる表情とは違い、どこか幼さが残る面影を向ける やっぱり年上の男性には変わらないし、どのぐらい生きてるのか聞く気は無いが… 疑問符を浮かべたように僅かに傾げてる表情を見ると、なんだか一人で悶々と考えてるのも馬鹿らしく思えてきた 「 嫌いじゃ無いけど…リクはカッコイイ獣なんだなって、改めて思っただけ 」 ふっと笑い、片手を伸ばしシャープな輪郭をしている頬へと触れれば、彼の目は丸くなり目尻にシワを作り笑みを返してきた 獣の表情だと、此処までハッキリ分からないから… 普段からこうやって笑ってたんだと思うと不思議に思える 「 そうか、御前がこの顔が好きならそれでいい…。猛獣と此方…どちらがいいか? 」 「 獣。人の姿は見慣れない 」 何故、そこまで私の好きだと思うような、タイプになろうとするのだろうか 感性が繋がってるからって理由にしては、随分と尽くしたがり屋なんだろうか?と思う 「 そうか……なら、こっちでいる 」 少し残念そうに獣へと戻った彼は、嘴を手の平に擦り付けてから、髪やら頬へと当ててきた 此れが…あの男性かと思うと、目が座るのは許してほしい どうも、男の容姿を見てから此方から返すのに抵抗がある 「 ……チューは無しか? 」 それを気付かない獣は、求める様な純粋な瞳を向けてくるなんて…やっぱりコイツは馬鹿なんだろうか チューを教えたのは私だ しない…なんて選択肢は出来ずに…仕方無く嘴へと口付けを落とし、身を起こす 「 ん……。嗚呼、乾かしてやろう 」 「 ありがと( 気にしなかったけど、キスした後…尻尾振るんだ )」 ご機嫌そうに揺れる尻尾を見ながら身体が乾けば、リクもまた水浴びを始めた それをどこか他人行儀に眺めてから、一緒に小屋へと戻った リクに返されたキスを嬉しい、と思ってしまったから…… リクもまたキスをされて嬉しいと思うようになったのだろうか? 彼が、どのタイミングで学んだかは…私は知らない 「 町か……なんだか気が重くなってきた 」 「 そう大きな町でもない。それにな…引き篭もりをやめて…少しは町の生活に慣れることだ。掲示板にある任務を受ければ金だって手に入る 」 「 確かに無一文は、心痛いけど…… 」 一時的に小屋を離れ、前に話していた町に行く事になった 果実以外の食べ物を食べる為なら、国の職に着いてない者は旅人や冒険者と扱われ 任務をこなして、その報酬金で生活をするしかない 其々の国に行われる試験みたいなのに受かれば、給料も上がるらしいが  フリーなら、決められた報酬金で納得するしかないらしい 「 てか、なんで…人の姿なの? 」  「 あの姿は目立つからな。この方が冒険者らしいだろ? 」 「 ………よく分からないけど 」 この世界の価値観はまだ分からないから、どっちが目立つなんか分かるはずもない 森を抜けるまではグリフォンの背中でひとっ飛びだったが、此処からは歩いて町に向かっていた あの森はエルフの領土近くだったらしいが、エルフなんて会わなかったな…… 会ってみたかったと内心思いながら、町らしい建物が見えてきた 古びた石造りの建物が点々と並び、人が出入りしてるのが見える 国境沿いとかにいそうな、見張りの者がいないのを見ると、此処は結構自由なんだろうなって思う 「 最初は冒険者や旅人も休息する、この町に慣れてから、徐々に広い方にいければ良いだろう 」 「 そんなに私を町に慣れさせたいの? 」 「 新しい刺激は、感性に繋がる。俺の為だと思ってな 」 リクの為に、町に慣れる必要があるなんて…… いや、ちょっとした気晴らしにはいいだろうと町と外の境から、中へと脚を踏み込めば一瞬違和感を感じた 「 今のは……? 」 「 あれは結界。猛獣が侵入しないようにな。俺は猛獣使いに使役されてるから平気だ 」 「 丁寧にありがと 」 何故、リクは平気なの?なんて質問をすることも無く答えてくれた為に礼を言えば 分かりきったように鼻で笑われ、ドヤ顔を向けられた コイツ…私の気持ちを読取って先に行動してり言うことにハマったようなゲームをしてるに違いない きっとそうだ、と決め付けて軽く睨んでから町を見渡した この町の住民は少ないように見えるが、旅人や冒険者らしい服装の者の方が多い 行き交う商人や、テントも無く地べたに布を敷き物を売っている 異世界と言うか、インドにでも旅行した気分になるけど、たまに歩いている謎の獣を見てると異世界なんだと実感する 「 あれは、なんの鳥? 」 「 家畜化された、コカトリス属であるシムルグだ。よく卵から販売されてる…。小さい姿は連絡用、大きくなれば乗り物として最適らしい 」 肩に止まるサイズであり、頭に乗ってるシムリグも存在する カラーは様々あるが、見るからに汚れたような灰色や茶色、黒っぽいのが多い 明るいカラーは少ないようで、それはアクセサリーやら飾りをつけていた なるほど、この世界のスマホみたいな感覚なんだと思う だから、旅人や商人は持ってる人が多いのか…… 何気無くリクを見上げれば、彼は答えた 「 連絡用も移動も、あんな下級より速く飛べる俺がいるだろう?必要ない 」 「 言うと思ったよ…ちょっと可愛いって思っただけだし…… 」 同じ鳥系を仲間にするのはきっと無理だろうなって歩いていれば、立ち止まったリクに振り返れば 彼は壁に手を付き、見るからに落ち込んでいた 「 可愛い………?ルナが求めるのは、可愛さなのか……小さくなれば…… 」 「 なったところで可愛くないし、可愛いのが好きな訳じゃないから。いちいち深く考えないで。リクはそのままでいいから 」 「 そうか…?ならこのままでいる 」 うん、この人(獣) とてつもなく独占欲も強くないか? というか、面倒くさい??
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