02 初任務と昇格試験をしてみた

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「 冒険者、Bランク昇格試験の任務ですね。此方になります 」 リクが魔法石の原料になった、爪をどこで手に入ったのか言ってくれることは無かった その辺で拾った、なんて言われても嘘だと分かる 寧ろ、どうしてそこまで隠すのか分からない まぁ…そんな物を拾った場所を誰かに聞かれたなら、 炭鉱場が荒らされるかも知れないし、言わないのだろうね リクが言わないなら深く聞く必要は無いと思い、受付へとやって来た Bランク迄の昇格試験は各国で行われてる為に、この小さな町でも出来る AランクやらSランクは国家試験みたいらしく、王がいる国でないと出来ないなんて… また移動する必要があると思えば面倒だ 任務内容によって報酬金がアップする、なんて言われなければやってなかった 「 ラードーンが守る黄金の果実を持ってこい……? 」 黄金って聞くだけでSランクだと思うんだけど、これを持ってきたらBランクになれるなんて随分とシビアな世界だ 傾げた私に、リクは変わりに答えた 「 ラードーンは黄金の果実を守っているんだ。中型ドラゴンだが、温厚だからな…怒らせなければ問題ない 」 「 果実取ったら怒るんじゃ…… 」 「 そりゃな。よし、行くか 」 「 いや、待って! 」 果実を取ってこい、と言われる任務なのに 果実取ったら怒るドラゴンいるなら相当、理不尽極まりない内容だよね!? 早々に紙を畳んでポケットに入れたリクだけど、私は納得出来ないんだけど!! 町から離れた場所で、リクはグリフォンの姿になった 背中に乗れば、空へと飛び上がる 「 ラードーンはエルフとヒューマンの国境沿いにある、滝の奥で木を守っている。そこに行くぞ 」 「 ……その後は、どうせ私一人なんでしょ…… 」 ふっと笑ったグリフォンに、一発殴ってやろうかと思ったけど我慢した ちょっとでも手伝いをしてくれるし、装備作ってくれたから…… そう思わないと、なんで私は死ぬ事が出来ないまま、こんな任務をやろうとしてるのか分からなくなる きっと、リクは私を殺したくは無いようだけど…… なんて思いながら、彼の羽を見ていれば突拍子も無い事を呟く 「 グリフォンの羽って…高価かな? 」 「 数が少ないからな…。本当に必要な時は売ってやるさ 」 青ざめたようなリクだが、ちょっとだけ虐め返せた気がして嬉しかった 「 冗談だよ。リクの毛は売らないから 」 「 ………そうか 」 そう言った私に、ほんの少しだけリクが笑ったのには気付いた 一部だとしても、仲間を売るような事はしない 私の事を面倒みてくれるリクだからこそ、思う 「 わっ……すごっ…… 」 地と森が裂けたように、突然と長く続く滝が現れた 昔、テレビで見たことのある、イグアスの滝を思わせるほどに遠くの彼方まで滝が続いていく 「 森の半分ほど、この滝がある。ヒューマンが入ってこないようにな…まぁだが…月日が流れると森も広くなるからな。反対側は地と繋がってるわけだ 」 「 私達が出入りしてる辺りね 」 「 嗚呼、もう領土争いを…行う馬鹿はいない 」 エルフが住む森は幾つも存在するが、そこ中でも此処は、滝によって孤立された森だったらしい 人が来ないよう、エルフは滝を生み出し侵入を防いでいたが 幾年の月日が流れ、領土争いが無くなればこの滝の存在味すら無くなっていた 今では冒険者達が鍛える為の、猛獣が生息するだけ 下を見れば見たことないトカゲなのに羽があり飛んでたり、デカい魚に翼があった いや……滝が長さも高さもあるほど、でかいからって 滝登りする魚に羽が生えるなんて…どんな世界だよ こんな世界なのか、不思議な獣が暮らす世界 「 少しだけ、この世界に来て良かったと思うよ。平和だし…楽しいから 」 「 そうか、御前は戻ってきただけだがな 」 戻ってきた、という実感は何も無いけれど この世界に来て良かったと思う程に、上空から見る地上は美しい 「 彼処から、裏に回れそうだな。少し揺れるぞ 」 「 うわっ…っ! 」 急に横向きに斜めった飛び方をしたリクに驚き、振り落とされないようしがみつけば、彼は流れが切れている滝の方へと行き、そこから裏を歩くと告げた 足場の悪い場所に降り立てば羽を畳み、私を乗せたまま滝の後ろを歩く 「 後ろから見た、滝ってなんか不思議だね……。変な感覚がする 」 「 前から見るものを違う角度から見ればな。違和感はあるさ 」 これは違和感なんだろうか、下に落ちてるはずなのに上に上がってるようにも見えて やっぱり変な感じたと滝から目を離して前を向く ある程度、歩いた先に一箇所だけ洞窟の入り口があった 「 降りろ。此処から先は、一人で行くといい 」 「 えっ…真っ暗じゃん…… 」 しゃがみ込んで降りやすくしてくれたけど、先の見えない真っ暗な洞窟を一人で行くなんて 嫌だな…と思いながら渋々背中から降りればリクは金色の目を向け、密かに口角を上げた 「 ルナなら出来る。シルバーウルフに接したように素直にな 」 「 素直って…私は捻くれてるんだけど 」 「 いいから行け。昇格試験だから俺は手を出せない 」 やっぱり手を出せないだけじゃん 本当は、手助け出来るなら此処に連れてきたようにしてくれるだろうけど 出来ないから途中迄なんだ… 普通ならきっと、冒険者は滝の裏を探すまで大変なんだろうけど 私は一飛びだからね、そんな苦難は無かった だからこそ、大変でも少しだけ我慢する必要はあると思う 「 分かった、行くよ。行ってきます 」 「 嗚呼、此処で待っている 」 気合を入れ、いざ洞窟の中を進む 水に囲まれてるせいか肌寒く、背後を振り返ればリクの姿は無かった 最近、ずっとに一緒にいるから居ないのが不安になるなんて… 親がいなくなっても平気だったのに、リクはちょっとだけ両親とは違う気がした 家族が何なのかは分からないし、主従関係もまたよく分からない というか、私の方が頷いてるばかりだから逆に思えるほど 俺の主が、なんてたまに言われるけど 果たして本当に思われてるかも微妙だよね 「 うぅ……手探りだなんて…… 」 壁に手をついて、反対側を前に置いたまま一歩一歩ゆっくり進むしか無かった どれだけ長い洞窟なのか、曲がってるのか、下ったり上ってるのかも分からないまま 左右の感覚が可笑しくなって来た頃に、僅かな光が差し込んだ 「 やった、光がある 」 求めるようには少し架け橋って、光の中へと入ればそこは空洞になっていた 「 わぁぁ…… 」 目の前には太陽が届かない暗い洞窟に咲いたとは思えないほど、大きな大木があり、枝を伸ばし黄金色の果実が幾つも実をつけていた 此れが今回のクエストで聞いた、黄金の果実なんだ 目が眩むほどの綺麗な色に、少しだけ感動してから辺りへと視線をやる 「 ラードーンがいない? 」   なんかもっとこう、番犬みたいに木の前に居るのかと思ったけど そんな様子も無く、ドラゴン?の姿はどこにもない それなら都合がいいと木に近づいて行く 「 ちょっと手は届きそうにないや。うーん…… 」 目の前迄来て、手を伸ばそうとするも届く距離ではない こんな時にリクがいたら背中に乗せてもらって、飛んで取れる距離にあるのに… そういえば、果物を取りに来るのはいいとして…ラードーンがいるのに武器を持ってない また防御力が高いだけで丸腰だと思えば、腕を組み考える 「( 丸腰にさせてる意味がある気がする )」 結構、心配症のリクが武器を持たせてないなんて変だ よくよく考えたらここまで付いてきて傍観してりゃいいのに、それすら無い あれ?って事は… 「( シルバーウルフのように…って言ってたのを思い出すと…… )」 私が、思っているよりずっと簡単で単純な任務なんだと知った 「 ラードーンさん、いるなら教えてください。私に果実を一つ譲って下さい 」 そう、″ 素直 ″に聞くことにした シルバーウルフの時みたいに、話が通じる相手ならきっと反応すると思う 争いが無くなった、とリクが言ってたから争わない方法で任務がクリアしても可笑しくない 考えたら分かることで、問い掛けた事により木はぼやっと動いた いや、動いたんじゃない 既にそこに、ラードーンはいたんだ 「 ははっ。素直だねぇ。気に入ったよ!でも、ハイ…そうですか。なんて言ってあげないよ? 」 「 擬態してたんだ…… 」 茶色だった木が変色し、緑色の身体をしたトカゲが現れた トカゲというより、兎みたいに目は大きくて身体に葉っぱやら花を付けた、ドラゴンは可愛いと言う言葉が似合うほど ケラケラと笑って木から降りたドラゴンは、二足歩行で立ち上がり、尻尾を揺らして私を見下げた うん、リクより遥かに大きいや ポカーンと呆然と見上げてる私に、可愛い緑色のドラゴンは頬を爪で掻きその指を立てた 「 3つ出す、なぞなぞに答えられたら上げるよ 」 「 なぞなぞ? 」 えっ、此処に来てなぞなぞゲーム? そんなひらめきは私には無いんだけど、と思っていればラードーンは頷く 「 そう、ボクってなぞなぞ大好きだからね!一つ目は… 」 「 早々に始まった…… 」 さっさと始まるなぞなぞに、もう少し擬態やら果実の話を聞きたいんだけど そんな雰囲気はサラサラ無かった ラードーンは私の方を、林檎のような真っ赤な瞳を向けて楽しげになぞなぞを出した 「 逃げても逃げても追い掛けて来て、洞窟に入ればいなくなる。でもまた洞窟から出たら追い掛けて来るものってなーんだ? 」 「 洞窟? 」 さっき私は何かから追われていただろうか? それとも、冒険者のように危険な道を来てたら、何かに追いかけられてた? 振り返り真っ暗な場所を見てから、この光ってる明かりを見てハッとする 「 あ、分かった! 」 「 答えは? 」 外は明るかった、でも洞窟は真っ暗だった けれど此処はまた明るい どんなに逃げても、追い掛けて来るものはずっと存在していた 「 答えは、影だ!洞窟の中は暗くて自分の影なんて見えなかったから。でも此処に来たらまた見えた 」 自分の背後を振り返り、少しだけ歩けば影が着いてくるように同じ速度、同じ動きをする だから逃げても逃げても、追い掛けて来るものといえば…影に違いない その場で立ち止まり、ラードーンを見れば彼は笑顔を向けた 「 せーかい!ちょっと簡単だったかな?次は難しいよ 」 「 いいよ、なに? 」 やっぱり争わない事を目的にしてるから、武器は必要無かったんだ こういったなぞなぞなら、楽しいと思い彼を見上げればラードーンは尾を揺らす 「 最初は3つ、次に4つ、最後には数えられないのに、結局1つしか持ってないドラゴンって、なーんだ? 」 「 えっ…… 」 此処に来てドラゴンの名前を当てることになるなんて… 最初は3つ?頭、手、足、尻尾でも最低6つは必要だから、それぞれバラバラにしても、最初から3つある身体なんてな…… あ、いや…待てよ、心当たりのあるドラゴンを思い出したのはいいもの、名前の方が思い付かない 絶対、ヤマタノオロチっていう古風な名前じゃない方がいたはず 「 あ、あっ…わかった! 」 「 答えは? 」 「 ヒ…ヒュドラだ!最初は頭が3つ、切ったら増えていく。でも心臓は1つだ! 」 ヤマタノオロチはから頭の数が限られていた でも、ヒュドラは切れば切るほどに増えていくドラゴンだった気がする 自信持って言えば、彼は尾を揺らす 「 正解。多頭竜(たとうりゅう)、ヒュドラだね! 」 多頭竜って言う単語は分からなかったけど、合ってるようで安心した 良かった、全然ドラゴンの事を知らなかったけど知ってる名前でよかった 他のドラゴンなら、全く分からなかったと思う 息を吐いて安堵すれば、彼は最後のなぞなぞを告げた 「 じゃ、最後の問題。自分では使わないのに、相手には沢山使われるものってなーんだ? 」 彼の問題は全て身の回りのものだった 影、心臓、そしてきっと最後も私の考えてるもので間違いはないと思う 「 答えは″ 名前 ″だね?自分じゃ使わないけど、知った相手は使えるから 」 「 へぇ、じゃ…ボクの名前は? 」 「 ……!! 」 答えは″ ラードーン ″では無い事は彼の試すような表情で察した ラードーンは、彼と同じ黄金の果実を守るドラゴンにつけられる渾名みたいなもの けれど、それは″ 名前 ″じゃない なぞなぞは、その答えと通りが合えば 答えが違っていても正解になるもの マッチを動かすやつも、数パターンがあるからそのどれにしても当たってことになる きっと、この名前も…答えなんて…幾つもあるだろうけど 私は、1つしか分からなかった 「 ヴァルトリター 」 「 !! 」 「 それが真名だね? 」 森の騎士、果実を守る騎士という名を持ったラードーン 彼の真名を言い当てたはずなのに、リクの時のような痛みは走らなかった あれ?間違えた?と疑問符を浮かべていれば、驚いた表情を見せた彼は急にケラケラと笑い始めた 「 あはははっ!!千年ぶりに真名を呼ばれたよ!!こんなにも気分がいいなんて! 」 「 えっ、えっ…当たってはいたんだ? 」 「 正解だよ!ドラゴンに選ばれし猛獣使い。君はBランクを合格し、Aランク昇格試験の資格を手に入れたんだよ 」 「 えっ、あれ……?ん?? 」 これはBランクになるためであって、Bランクを合格したってどういうこと? 何かの間違え?というか、昇格試験の事を知ってることに驚いていれば ラードーンの姿は瞬時に、青年の姿へと変わった キョトンとしてる私に、緑色の髪色に赤い目をした青年は髪色と似た派手な花のついた燕尾服を身に着けて、軽く頭を下げた   「 紹介が遅れました。ボクは試験官。ラードーンの姿になって此処で適性検査をする任務をしていたんだ 」 「 えっ、でも…人間じゃないよね?真名がわかったし…… 」 「 確かにボクはヒューマンではない。ビースト族のトカゲ種だけど、猛獣使いならば…人の魂に刻まれた真名を当てることすら出来る。因みに、ボクは野生種ではないから使役はされ無いから安心してね 」 「 は、はぁ…… 」 よくわからないが、ビースト族という獣の姿を得ることの出来る、このトカゲの試験官によって、 黄金の果実を取る…って言うことから適性検査の項目の1つだったらしい 「 もしかして、採ったら不合格とか? 」 「 そうだね。無理矢理採ったり攻撃してきたら不合格になって外に放り出していたよ。その後のなぞなぞの種類は、人によって変えてるけどね 」 やっぱり、取らなくて正解だったんだ 不合格!!また出直してこい!なんて想像がついた 「 私が…猛獣使いと知って、名前を? 」 「 いや、それは真名を当てられて知っただけ。素直な子だと思ってたけど…猛獣以外も知る事のできるドラゴンに選ばれた猛獣使いなのは今知ったよ 」 サラッと千年ぶりに名前を呼ばれた、とか言ってたけどビースト族ってそんな長寿なんだ? あれかな、ヒューマンよりエルフの血が濃いとは聞いてたけど… そう言った理由なんだ?と自己解釈して納得しといた 「 そのドラゴンに選ばれた猛獣使いと、他の猛獣使いは違うの? 」 「 天と地の差がある。他の猛獣使いはその者に触れ、己のレベルにあった程度しか名を知ることが出来ないが…ドラゴンに選ばれた猛獣使いは触れずとも、自然と名を知り、そしてどんなに者すら使役出来る。まぁ、野生種のみだが…… 」 レベルに関係無く使役出来るからこそ、高ランクと言っていたリクを使役出来たんだ 本人が驚いてショック受けるぐらいには、他の猛獣使いじゃ、彼の真名を当てることは出来ないなんて… 当てずっぽうに名を言えば当たりそうだけど、それと ″ 真名を知る ″では意味が違うんだろうね 「 なるほどって言いたいけど…ドラゴンに選ばれるって、具体的にどうしたらなれるの? 」 「 それは古代種の3体、知性を司る…天空竜から与えられる天性だからな。天空竜に気に入られなければ貰えないと言われている 」 「 ん?…天空竜ってさっき…凄く珍しいとか聞いたんだけど 」 スカイドラゴン、なんていう単純な名前の奴とか認識してたけど 立て続けに名前を聞いたら、ちょっと本当に珍しいのか心配になる けれど、彼は平然と頷いた 「 そりゃ。感性と理性が無いから、本人が興味のある者にしかその天性を与えないからね。逆に…知性の天空竜に好かれた人の傍には、天空竜が現れるともされているよ 」 「 …………現れるんだ 」 「 古い言い伝えだから本当か、どうかは分からないけど…此れだけは真実。天空竜は感性と理性が無いから、人に興味を持つときはそれ等を欲してる時らしい。だから自分の名を与えて、天性を扱えるようにさせる…とか 」 言われている、と言った最後の言葉で 信憑性は何も無くなった けれど、もしそれが本当なら私のブローチに天空竜の爪が使われてる事を本人はどう思うのだろうか? それは少しだけ気になった 「 あ、え……。私って天空竜の真名を知ってるの? 」 「 教えて貰わなければ、ドラゴンに認められた猛獣使いにはなれてないはずさ 」 「 えぇ……そんなドラゴン会った気がないよ!ラードーンが初めてのドラゴンだし!! 」 ドラゴンって言うんだから、でっかくて大きなドラゴンだと思うけど、そんなのは見てないし知らない  最近、こっちに来たばかりなのに!と思い頭をクシャクシャ掻いていれば 彼は、木の枝から1つ黄金色の果実を採って差し出してきた 「 この中に、次の試験内容が書かれている。受付で果実を見せてから中を見るといい。頑張ってね、猛獣使いさん 」 「 うぅ……はい 」 頑張る気なんて更々無かったのに、徐々にそうなるよう仕向けられてる気がする 手に持った林檎サイズの黄金の果実を眺めてから、 ラードーンの姿へと戻り、木に擬態した試験官に手を振り、リクの元へと戻る事にした 暗い洞窟は、果実が光ってるからライトの役割がされて怖くはなかった 私が猛獣使いになった理由が、天空竜から名前を貰った事だったらしいけど… それはリクは知ってたのだろうか? 「 ただいま…… 」 「 おかえり、任務は終えたようだな 」 「 うん、Bランク昇格して、次はAランクらしい 」 「 ほう?飛び級が認められたんだな。流石、猛獣使い 」 認められたってことは… Bランク任務をしろ!って言われてても可笑しく無かったんだ 適性検査って言ってたし、試験官がいいと思えばいいんだろうね 「 流石って……、あ…そう言えば聞いたんだけど 」 「 何をだ? 」 「 私って天空竜の真名を貰ってるから、猛獣使いらしい…知ってた? 」 果実を手にして匂いを嗅いでいる仕草をした、人の姿になっているリクは私の言葉を聞き何処か視線を外し、手の平へと果実を戻した 「 聞いたことはあるが…今頃、名を与えたドラゴンも、その時の事を忘れて、原因を考えてそうだな 」 「 そういうものなの? 」 「 考えたら分かるだろ?急に現れた奴が、自分の名前を知ってたなんて。俺なら疑問になる 」 「 確かに、いつ渡したっけ?ってなりそう 」 なら、私がこの世界に戻って?来たことで その天空竜は、疑問符を幾つも浮かべて何処から見てるのだろうか 見てるってちょっと、ストーカーみたいで気持ち悪いから 考えてるってだけにしとこう 「 さて、次の昇格試験に行くか。乗れ 」 「 ねぇ…リク。天空竜ってどんな姿かな?ちょっとだけ見てみたくなった 」 「 ……そんなの、古い本を見れば幾らでも絵は載ってるさ 」 それとちょっと違う気がするんだけど 生でみたい!とか言ってたら、会えたらなーなんて他人事のように言うリクには ドラゴンに対する夢がない!! ラードーンと話した事を言いながら、町へと戻った
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