宿命

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 暖かいものに包まれて、僕は目覚めた。  なぜか体を逆さ吊りにさせられている。つま先を凄い力で摘まれている。  どれくらい宙吊りにされていたのか、頭に熱いものが溜まっている。そのせいで顔は膨らみ、目はチカチカする。それも現在進行形で状況は悪化している。 (息が苦しい、死んでしまいそうだ)  周囲を凝らすと、ひとつ、ふたつ、僕と同じようにして宙吊りになっている者がいた。その者たちは、頭から得体の知れないものを断続的に噴出させていた。  おそらくアレは、僕の頭からも出ているのだろう。さっきから、表皮で何かが爆発するような感覚がある。 (ここはどこだろうか。たまに強い風を感じるので、屋外なのだろうか?)  目がチカチカするせいで、遠くが上手く見通せない。  バッババッバ。  唐突に、僕と同じ境遇の者たちが揃って奇声を上げ始めた。ブツ切れの声をバッババッバと繰り返している。  途切れそうになる呼吸を、死に物狂いで行っているようにも見える。  その者たちは、数秒前とは比べ物にならない量の何か頭からを迸らせていた。 (もう息苦しくて堪らない、僕もああなってしまうのだろうか)  一度呼吸を乱せば今の自分には戻れない気がする。かといって、このまま浅い呼吸を続けているのも苦しいだけだ。 (あれは何だろう?)  薄らいでいく視界の隅で、何かが落ちて行った。  自然と目が追う。 (頭部だ)  同じように吊るされていた者の頭部が、バッババッバと呟きながら落下していく。地面に頭が衝突すると、頭はペシャリと潰れてしまった。声はもうない。  恐る恐るその者の残った体を見遣ると、当然だけど、頭部がちょうどなくなっていた。  僕が目を丸めている内に、その体はどこか遠くへ運ばれて、消えてしまった。  僕は残っている者に目を向けた。  首は繋がっているが、今にも死にそうな掠れた声で、バッババッバと悲鳴をあげている。真っ赤に膨れ上がった顔が、小刻みに揺れていて怖い。まるで、首からもぎ取れようとしているみたいで、気味が悪かった。
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