私の恋を邪魔するあの人

1/11
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
高校生になって初めての文化祭はつい数時間前に終わったはずなのに、未だその盛り上がりは収まっていなかった。同じクラスの子に「里穂も来なよ」と言われて、流されるままに参加した打ち上げの焼肉パーティーは文化祭の興奮冷めやまぬままに盛り上がっていた。どこにでもあるような焼肉屋で5つのテーブルに分かれて肉をつつく。わたしのテーブルでは横に座っていた石橋さんと向かいに座る2人の男子はおしゃべりに夢中だったので必然的にわたしが肉を焼く係になってしまっていた。 「早く食べないと焦げちゃうよ」 と声をかけながら黒くなりかけている肉を網の端っこへと避ける。手持ち無沙汰だからやってる作業ではあるけどなんだか面倒くさい。こういうの参加しないとクラスで浮いてしまうことはわかってるから一応参加はしたけどみんなでワイワイするのはやっぱり苦手だ。こんなことなら楓の不参加を聞く前に参加するなんて言うんじゃなかった……。 文化祭終わりにほとんど話したことのないクラスの派手な女子に参加することがあらかじめ決まっているかのような強い口調で「里穂も打ち上げ参加するよね?」と聞かれた。断るのも空気が読めない人みたいで嫌だったから「参加する」と虚ろな視線で答えた。「やめておく」と言う勇気は無かった。 答えたあとすぐに親友の楓のほうへ向かい「楓も打ち上げ行くんだよね?」と結局わたしも同じように参加することを前提とした聞き方で聞いてしまう。一人で参加するのは怖かったから楓も一緒に来て欲しい一心で聞いた。 「私はやめとくね……」 楓は少し間を開けた後にガラス細工みたいに簡単に壊れそうな笑顔を向けて答えた。楓のクラスでの立場を考えたら当たり前の回答だった。うっかり聞いてしまったが楓にこの質問をするのは酷だった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!