2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
よく分からないけれど、僕も一緒に走っていた。
腹の脂肪が揺れる。胃に流し込んだスポーツドリンクもタプタプと音を立てて揺れる揺れる。
「うぅ! ……おえぇ!」
僕はあまりの気持ちの悪さに膝に手をついて立ち止まる。限界だった。
歩数にして15前後。速度もそんなにあったわけではない。坂を登った時点で限界が近かったとはいえ、情けない……男として残念すぎる……。
恥ずかしさで、顔を上げて藤野さんを見られない。
――僕でいいのだろうか? こんなデブが選ばれたとあっては、藤野さんに迷惑なのではないだろうか。僕なんかより、もっと相応しい人はいる。僕は思い上がっていたんだなぁ。助けが必要だからって、どうして僕が藤野さんを拾う選択をしてしまったのか……。
中学の時の申し訳ない気持ちがよみがえる。
「ごめん……」
僕は藤野さんの方を見ないようにして、自転車に乗って帰路に戻った。ごめん。ごめんよ。
最初のコメントを投稿しよう!