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「藤野さん――」
色々と聞きたいことが山積みだった。なぜ捨て犬風だったのか。なぜ声を出さないのか。なぜ僕に構うのか。
どう切り出そうかと逡巡している合間に、藤野さんはそっぽを向いて歩き出していた。空のペットボトルを専用のゴミ箱に捨てると、公園を抜けてどこかへ行ってしまった。
「……なにか気の障ることをしたのかなぁ」
でも、明日になればまた会える気がした。
翌日の土曜日、夕方に行くと藤野さんは待っていた。
その翌日も。そのまた翌日も。
特に会話らしい会話をするわけでもなく、僕の体力が尽きるまで公園の内周を走り続ける。限界を迎えると自販機によってスポーツドリンクを購入し、中身を分け合う。そしてすぐに解散する。
僕の体力は日に日に向上していった。体重も心なしか軽くなった気がする。
あっと言う間に日は過ぎ去って、期限の9月20日を迎えた。
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