スマートな僕に

1/8
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 自転車の重いペダルを踏む。踏む。踏む。  夏休みの間にさらに怠けた体が悲鳴をあげる。 「……ひぃ。ふぅー……はぁ……」  9月の夕日に体内の水分を絞られながら、心臓破りの急な坂道をなんとか登りきった。 「はぁ……はぁ……また、ダイエット、するべきだなぁ」  体重80kgの体に高校指定のワイシャツが汗で張り付いて気持ちが悪い。  住宅街とはいえ人気はない、いっそ上半身だけでも脱いで楽になってしまおうか!  ――中学のとある夏のほろ苦い思い出がよみがえる。外で上半身裸で息を切らしながら走っている姿を、たまたまクラスの女子に見られて、物凄く恥ずかしい思いをしたなぁ。それでダイエットを断念した。……あれは、見せてしまった女子にも気まずい思いをさせて、申し訳ないことをしたなぁ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!