【台本】三匹の子豚

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ナレーター  ここは、いつかの時代のとある草原のどこかのおうち。豚の一家が住んでおりました。母は女手ひとつで三つ子の子豚を育て、季節は春、旅立ちの時。三つ子は揃って母親に相談事をしているようです 三匹  母さん、ぼくたち(アタシたち)(俺たち)家を出ようと思うんだ 母  お前たち・・・! 一郎  母さん、いままでありがとう。僕ら、もう良い大人になる年齢だし、いつまでも母さんに頼りっぱなしという訳にはいかないよ 二郎  そうよォ ママだってもうイイ年なんだからァ!アタシたちはアタシたちでうまくやるから、ママも残りの人生を楽しんで、ねえ? 母  ああ、お前たちももう大人なんだねえ。いいよ、好きにおやり。三人一緒なら安心だしね 三郎  我が親愛なる偶蹄目の賢母よ、かの発言はファクトムと相違なると言えよう。我ら血を分けしブルーダ―は離別の道を歩むことにしたのだから 母  えっ、別々に暮らすですって!?そんな・・・ 一郎  はぁ・・・母さんもよく知っているじゃないですか。僕たちの、その、・・・不仲は 二郎  アタシは一郎ちゃんと暮らしたかったんだけどネェ 一郎  ね、ねっとりとした目で見つめるな!僕は二郎のようなウザったい奴とも三郎のような何を喋っているか分からない奴とも一緒には暮らせません!僕には学業もありますし 二郎  ほんと、一郎ちゃんはツレないわね!ただ、三郎ちゃんが何言ってるかわからないっていうのはわかるわ。残念だけど、アタシも三郎ちゃんとは暮らせそうにないのよ 三郎  いくら寛大の名を冠される身どもだろうと、うぬどもと冒険の書に名を連ねるのは辞退したいのだ 一郎  なんて言ってるかわからないけど、非難されてるのは分かるぞ 母  あぁもう、こんな時までケンカするんじゃないよ!・・・わかったよ。さっきも言ったけど、お前たちはもう大人なんだから、好きにおやり。でもね、くれぐれもオオカミどもには気をつけておくれ。母さんはお前たちを父さんと同じ目に合わせたくないんだよ 一郎  大丈夫だよ母さん、しっかりやる 二郎  アタシを助けてくれる男なんてすぐに見つかるわ!心配しないで ママ 三郎  悪しき獣についてのパラダイムシフトは既に完了している。俺については憂心を抱く事もないであろう ナレーター  こうして、三つ子の豚はそれぞれの道に進む事になりました。でも、やっぱり実の息子のことはいくつになっても心配ですよね、お母さん? 母  まあ ねえ。でも、もう手は打ってあるよ ナレーター  ほぉ、どういうことでしょうか?とりあえず 一番まともそうな一郎の様子を見てみましょう 一郎  よし、荷物もだいたい片付いたな。はぁ・・・それにしても、駅が近くて家賃が安いってだけでこの家を選んだが、セキュリティが微妙だったな。ワラ・・・だもんなぁ・・・ ナレーター  どうやら一郎は利便性と経済性を考えたものの、セキュリティの甘いワラの家を借りてしまったようですね。おや、外のほうで何やら騒がしい声が聞こえますね。なんでしょうか 弟子   せんせーえ!おなかすいてきましたよーお!もう、ぼくーう おなかぺこぺこでしんじゃう! 先生   チビッ子のくせにぴーぴーうるせえぞ!俺だってなあ腹くらい減ってるよ、俺だって・・・うう・・・ 弟子  (小声で)はっ、使えねえ 先生  あ?今なんか言ったか? 弟子  (かき消すように)あっれー!?先生、ほら、このにおーい!ほらほらー! 先生  ん?おお、本当だな!こりゃあ若い豚の匂いだ。脂がのってて美味いぞ~、よく気付いたな!そうだチビッ子、修行がてらこの豚を捕まえてみろ!ほら、多分あのワラの家だ 弟子  ええ~めんどーい 先生  文句言ってねえでとっとと行ってこい!いいか?家ごと吹き飛ばしちまえ。大きく息を吸って、一気にブゥ~!だ! 弟子  ・・・わかりましたよお。まあボスの言うことですし、仕方ないです。行ってきますぅ ナレーター さあ、大変なことになりました。なんと引っ越して早々、お母さんが気を付けるように言ったオオカミにターゲットにされてしまいました! 弟子  よおし、大きく息を吸ってブーだな!せーのっスゥー(吸う)ぶう~っ(吹く) 一郎  う、うわわ!?なんだ!家が飛ばされていく! 弟子  あっ!いたいたー!豚さんはっけーん!せーんせー! 一郎  ぎゃああああ!お、おお、オオカミ! 弟子  せんせー!きてきてー! 先生  おー今行くぞー 一郎  (早口で)と、とりあえず逃げなくては!駅まで僕の足で多く見積もっても三分二郎の住んでる町までは二駅 三郎は四駅 徒歩10分と15分だから二郎の家に行こう、不本意だけど、不本意だけど!ってうわぁあ二匹に増えた!た、助けてーっ! 先生  どうだ、美味そうなのがいただろ。早速腹ごしらえだ〜って逃げちまってるじゃねえか! 弟子  あー本当だ~、もうずいぶん遠くのほうにいますねえ~ 先生 いますねえ〜 じゃねえよ!オラ!とっとと追いかけるぞ! ナレーター ドタバタと豚一匹、狼二匹が走ります。向かうは二郎の家。当の本人は何をしているのでしょうか 二郎  あとはお洋服だけね~、ちょっと一休みしましょ!ん~、一郎ちゃんと三郎ちゃんの家との距離の中間だったし、クローゼットが立派だからここに決めたけど、ちょっともろいのよねえ、この木・・・まっいいわ。木の家ってなかなかメルヘンでいいものよネ。安全面はアレかしら?まあ家も近いんだし何かあったら可愛い兄弟に助けてもらいましょ!ほんとは王子サマに助けてもらいたいけど・・・ハァ、ママにはああ言っちゃったけど、王子サマってなかなか現れないものよネェ~ あーあ、ある日突然イケメンの王子サマが訪ねてきたしないかs 一郎  (ドンドンドン)二郎!ジローーーーーーーーっっ 二郎  えっ!?えっ!?王子サマ!?うっそぉ~! 一郎  違うよ!いいから開けろっ!ウワッ助けて早く! 二郎  え~何なに~、一郎ちゃんじゃなーい(ガチャ)どうしたの~アタシが恋しくなっちゃったの〜? 一郎  ハァハァ・・・ゲホッ、ぢがう・・・ 二郎  もしかして、一郎ちゃんがアタシの王子サマってわけ?キャ~兄弟同士でキンダンの~?? 一郎  やめろ!違う!本当に違う!ふざけてる場合じゃないんだよ!あのな、僕の家がオオカミに吹き飛ばされたんだ 二郎  えっ、待って何それ今の笑うトコ? 一郎  いや、笑えない。さらに笑えないことに、僕はオオカミに追われていて、今この家にそのオオカミたちが向かっているんだ 二郎  ちょっとぉ!やめてヨォ!なぁんでかよわいアタシの家にしたのヨォ!三郎ちゃんのトコに行けばよかったじゃない! 一郎  仕方ないだろ、僕の家からだと三郎の家よりも二郎の家のほうが近いんだから!それに二郎、前に・・・ 先生  おいっ!あそこの家じゃねえか? 一郎  ゲッ!? 弟子  わー!すごーい!先生、鼻が利くぅ! 一郎  も、もう着いたみたいだ。なぁ、この家で一番安全な場所はどこだ!? 二郎  え~!?わかんないわヨ~アタシも来たばっかりなの! 弟子  よーし、先生、見ててくださいね~さっき見せられなかったけど、ぼく凄いんですよお!せーのっ スゥーっ 一郎  あぁ。もうだめだ・・・ 弟子  ブゥ~! 一郎・弟子 あっあれ? 先生  なんだ、ビクともしねえじゃねえか 弟子  いや~さっきはできたんですけどぉ~ 二郎  一郎ちゃん!何が起こってるのヨォ! 一郎  わ、わからない!けど今のうちに逃げよう! 二郎  えっどこに!? 一郎  三郎の家に決まってるだろ!オオカミたちは玄関側にいるからそこの窓から出るぞ! 二郎  きゃー!カケオチっぽーい! 一郎  うるさいぞ!見つかる前に早くしろ! 弟子  ブゥ!ブー――――!ハァハァ・・・ 先生  おいおい、もうやめていいから・・・ 弟子  さっきはできたんですう~、本当なんですう~ふええ・・・ 先生  わかったわかった、もうラチがあかねえからオレが手本見してやる。下がってな 弟子  わぁー!先生かっこいいー! 先生  よおし!行くぞ!スーっ ぶぅうううう! 二郎  ギャー!アタシの家が! 一郎  振り向くな!いいから走れ! 二郎  いや~ん パンティが風に舞ってる~恥ずかしい~ 一郎  だっ黙れ!走れ!黙れー! 弟子  先生すごーい!あっ、あのパンツの柄もすごーい! 先生  どうだ見たか! 弟子  見えます見えます!ヒョウ柄にゼブラに・・・アレはキリンかな? 先生  パンツじゃねえよ!俺のこの技を見たかって言ったんだ! 弟子  はいはい、先生もすごいすごーい。あれ?でも豚さんいませんよ? 先生  あ!てめえがのらくらやってる間に逃げられちまったじゃねえか! 弟子  え~、ぼくのせいですか?でも、あのピンク二匹組って・・・ 先生  くそっ!追いかけるぞ! ナレーター 逃げる二匹と追う二匹。向かうはあの、中二病末期患者、三郎の家です。果たしてこの四匹は三郎の言っていることがわかるのでしょうか 二郎  それにしてもあの大きいほうのオオカミ、ちょっとイケメンだったわネ♡ 一郎  少し静かにしてくれよ!? 三郎  心なしか魂をかき乱す音が聞こえるな・・・今、極秘魔導書を使ったトマンゾッペを調合中ゆえ、彷徨い人には導きを与えられないのだが・・・ ナレーター ええ~、三郎はミネストローネを作るのに忙しいからお客さんが来ると困ると言っています 一郎  三郎っあけてくれ!僕たちを匿ってほしいんだ! 二郎  三郎ちゃん!オオカミに追われてるの!助けてぇ! 三郎  これ以上俺の魂をかき乱さないでくれないか?今、閉ざされし封印を解くぞ。俺が伝説の救世主であり、弱気に手を差し伸べる使命のもとにあることを感謝するのだな 一郎・二郎  何言ってるかわからないけど、ありがとう! 三郎  自らの幻想に従って俺を闇に貶める行為に終止符を打ったらどうだ ナレーター 今のは、自分の言葉が理解できないのはお前らが馬鹿だからって言ってます 一郎  あ~・・・とりあえず喧嘩は後だ。大変なことになった 二郎  アタシたち、イケメンのオオカミと少年オオカミに家を吹き飛ばされちゃったのヨ! 一郎  まあ、僕はワラの家、二郎は気の家だったし、もろすぎたのも原因の一つなんだけど・・・ 二郎  ヤダ、一郎ちゃんワラの家なんかに住んでたの?だから住所教えてくれなかったんだあ! 一郎  と、とにかく!お前の家はレンガだし、吹き飛ばされる心配はない。しばらく匿ってほしいんだ 三郎  まあ、それも神の意志ということだ。時に、外の囀りが耳に届いたか ナレーター 外の声を聴け、と言ってますね。いったいどうしたというのでしょう 弟子  ブゥー!ぶううう!ゼエ・・・ハア・・・先生~この家レンガですし、絶対無理ですよお~ 先生  ブー!んぶうううううう!ハぁ・・・ハア・・・うるせえな!じゃあどうしろってんだ!豚はここにいるんだぞ! 弟子  ウー、そうですねえ、あっ、あの煙突から入るってのはどうですか? 先生  え~、大胆さがなあ~ 弟子  そんなこと言ってる場合ですか!先生、お腹空いてるんでしょ? 先生  グゥー 弟子  それに、中には丸々太って若くて脂ののったピンク色のジューシィな豚が、三匹もいるんですよお~。ほら~想像するだけで~さらにお腹が~空いてきちゃいますねえ~ 先生  う、ごくり・・・ 弟子  さ、煙突から入ってちゃっちゃと頂いちゃいましょう!ねっ? 先生  よーし!背に腹は代えられねえ!行くぞチビッ子! 弟子  はーい! 二郎  ええ!どうしよう!また逃げなくちゃならないの? 一郎  もう逃げる場所は母さんのところだけになったけど、母さんを危険な目に合わせるわけにはいかないし・・・ 三郎  案ずるな! 一郎  えっ! 二郎  どうしたの? 三郎  黙って聞け。奴らオオカミが入ってこようとしている煙突の下には、俺が毎日の日課として作ってるミネストローネが大鍋に入ってぐつぐつと煮えているのが見えるだろう 一郎  本当だ。あんな大きな鍋にあんなたっぷりのスープがこれでもかというほどぐっつぐつに沸騰している 二郎  一人暮らしであの量なの?だから三郎ちゃんは豚なのよ 三郎  だから黙れと言っているだろう!言っておくがお前らだって豚なんだぞ!それでだ、その煙突をオオカミたちが下ってきたらどうなると思う? 一郎  そうか!オオカミは沸騰した大量のスープの中に落ちて大火傷!もしかしたらそれだけじゃすまないかもな! 三郎  その通り 二郎  ん~でも、そんなことしたら折角のミネストローネが悪趣味なオオカミトマトスープになっちゃうわよ? 三郎  まあ、それは作り直せばいい。オオカミトマトスープも案外美味いかもな 二郎  ヤダー!ていうか、三郎ちゃん普通に喋れるじゃない!ビョーキ、治ったのね! 三郎  纏わりつくな! 一郎  おい、来るぞ! 弟子  ふぅー、屋根の上に登るのって結構大変なんですねぇ 先生  まあでもこれで豚は俺たちのもんだな!チビッ子、先に下見してこい! 弟子  遠慮しなくていいですよ先生~!お先にどうぞ、ほらほらー! 先生  え、なんだよ、押すな!押すなよ! 弟子  はい?何ですか?先に行きたい?はいっどーーーーん!えへ 先生  うわあああああ!押すなって言ったのおおおお! 一郎  ん?なんか下ってくるというより落ちて・・・ 先生  うぎゃ!アッッッツイイィィィィ!!!!!! 二郎  きゃー!イケメンがユデダコ~! 三郎  ゆでオオカミ、だな 先生  アツい・・・アツい・・・あつ・・・ 一郎  こ、これでもう一匹落ちてくれば・・・ 弟子  先生~!いきますよー!えいっ 先生  アッ・・・ウ!? 弟子  とお! 一郎  なっ!? 三郎  鍋から抜け出そうとするデカオオカミを踏み台にして部屋に乗り込んできた・・・だと!? 弟子  へっへっへ~お前ら、食われる覚悟はできたか~ 二郎  イヤー!どうせならこんなひ弱な少年より、逞しいイケメンに食べられたかったワ~! 一郎  も、もう逃げ場もない・・・だめだ・・・ 三郎  落ち着け!これくらいの小ささなら俺のダーインスレイブでなんとか・・・ 二郎  ナニソレェ! 三郎  ダーインスレイブとは「ダーインの遺跡」という意味の伝説の剣で、 一郎  お前が落ち着け!それでどうにかなるか!? 弟子  もたもたしてると、そのでぶった腹の肉を食っちまうぜ! 一二三郎 ぎゃあああ! 母  はい、ヤメーーー! 一二三郎 母さん!? 弟子  あ、ボス! 一二三郎 ボス!? 母  やりすぎだよ羊くん、ちょっと怖がらせるだけで良いんだって言ったろう? 弟子  いやぁ、ちょっと面白くなっちゃってぇ 三郎  え?え? 母  まあ、上手くやってくれてありがとうね。ほら、そのオオカミの皮暑いだろう?もう脱いでいいよ 弟子   はーい(皮をとる) 一二三郎 ひ、羊~!? 一郎  ど、どういうことなんですか、母さん! 二郎  ボスってなによお、ママ! 三郎  オオカミの皮をかぶった羊って・・・なんなんだ母上! 母  実はねえ、母さん・・・お前たちのことがどうしても心配でね、やっぱり三人一緒に住んでほしいと思ったから、この役者さんを雇ってオオカミを誘導してもらったのさ。あんたたちに協力してピンチを切り抜けてほしかったんだよ 弟子  そうそう。ぼく、駆け出しの役者なんですが、みーんなぼくの演技に騙されちゃって!ウフフ、やっぱ僕って才能あるんだなあ~! 一郎  で、でも僕たち、三郎のところに匿ってもらってるだけだし・・・ 二郎  それに三郎ちゃんの家が偶然レンガで、偶然スープを作ってたから助かったのよ? 母  それに関しては、三郎がミネストローネ作りを日課にしているのは実家にいるころから知ってたし、立派な家に引っ越すのも教えてもらってたしねえ ま、そもそも臨機応変に対応する一郎の素早さと、なんだかんだ兄弟と近くにいたがった二郎の人懐こさと、頑丈な家を持つ選択をした三郎の用心深さが無ければどうにもならなかったことさ       二郎  まあ、アタシはお金云々無しにしても、三人一緒もいいかなって思えてきたわヨ! 一郎  ぼ、僕も三郎が普通に話せることがわかったし、い、一緒に住んでやってもいいけどな! 三郎  ふん、それが母上の意志なのだろう?俺はそれに従うだけだ 母   本当かい?あぁ良かった、これで安心して眠れるよ ナレーター こうして、一応三匹は和解し、母親の思惑通りに事が運びましたとさ!めでたしめでたs 先生  ちょ、ちょっと待ってくれ!たったすけてくれえ! 弟子  あっ先生~自力で抜け出せたんですねえタフゥ~! 先生  そ、そんな呑気なこと言ってねえで助けてくれ!熱くて死にそうなんだ!食おうとしたことは謝る!スープに入っちまったのも謝るから!なんでもするから助けてぇ! 弟子  ボス―、いいですかぁ? 母  まあ、オオカミ代表として十分苦しんだようだし、助けてやんな。そのあとはお前の好きなようにしていいよ 弟子  ハーイ!ほんと、先生はしょうがないですねえ、三郎さん、バケツに水をくださいな 三郎  ちょっと待ってろ、ほら 弟子  どーも!ほら先生、水ですよ!ばしゃー 先生  ハッ・・・ふぁあ、助かった・・・ 弟子  さーて先生?許してあげたアーンド助けてあげたお礼に~なーにをしてもらおっかな~? 二郎  ハイハーイ!アタシの王子様ってのは? 一郎  は!?な、なんだそりゃ! 弟子  うーん、面白いけど、それはぼくが得しないから却下! 一郎  あのー、羊さんはその、役者さんなんですよね?そういう芸能人の方って、警備の人とか付き人とかが必要なんじゃないですか? 三郎  なるほど、羊のSPがオオカミか。なかなか面白いな 弟子  いいね~、それだったら僕の箔もつくし! 先生  俺がこのチビッ子のボデーガードってか!? 弟子  あれ?助けてあげたのに文句言うのかな? 先生  うっぐ・・・分かったよ、じゃあそれで許してくれるだな? 弟子  そ!まあ僕の護衛になるなら当然今日からベジタリアンっていう条件付きだけどね! 先生  え、それはさすがにキツ・・・ 弟子  ん?(睨む) 先生  いや、はいっ・・・野菜しか食べません・・・ ナレーター かくして母豚一匹、息子三匹、羊とそのボディーガードの合計六匹は、すったもんだしながらも、しあわせに暮らしましたとさ 今度こそ、めでたしめでたし! <完>
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