痴漢電車

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痴漢電車

「今日のことは内緒だよ」 「おとうさん、 おかあさんには言ってはダメだよ」 俺が中学に上がりたての頃 電車で通学 移動時間15分 いつも同じ車両で起きること いつも同じ声 耳元でささやかれる いつも同じ まわりは気づかない 気づいてもかかわらない 助けを求めなければ (・・・今日こそは突き出してやる) 何をされるわけではない 満員電車を利用して 身体を押し付けられるだけだ ・・・尻にわかりやすいくらい ガチガチのものが当たるだけなのだが (息が・・・耳に・・・・・・・) くそ・・・・・・・ 舐められてる・・・・・・・ 子供だからどうとでもなると・・・・・・ 「・・・・・ッア・・・」 大きな揺れと同時に 立ってる乗客全員がバランスを崩す 俺はつり革に助けられるも 真後ろの大きめの身体が 俺の背に更に体重をかけた 「・・・・・!!!!!」 つり革を持つ手が重さに負け 座席の女性の上に後ろの男ごと倒れた 「・・・・・ごめんなさい!!」 怖くなり逃げるように 途中下車した 次の電車まで5分 しかたなくベンチに腰を下ろす 「・・・・・そういえば、 痴漢の顔見るチャンスだったのでは」 ボンヤリつぶやいた瞬間 「・・・・・痴漢? それは大変だったね」 缶コーヒーを飲みながら 同じ学校の制服を着た男が 「・・・まぁ、どうぞ」 未開封の同じ缶を手渡される 「・・・・・誰」 「・・・・・君の知らない奴さ」 後に二年生に進学した時 同じクラスになったそれは、 「作家志望」と自己紹介をして 俺と王真に握手をしてきたのだ
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