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奇妙な依頼
その日、興信所「新・土井エージェント」を訪れた依頼者は、対応した探偵に数枚の絵を見せてきた。
雑居ビルの三階にある事務所に併設されたパーテーションで区切られた面談ブースには、その依頼者と、探偵の先野光介、三条愛美が向かい合ってテーブルについていた。
そのテーブルに広げられたのは、子供がクレヨンで描かれたとおぼしき三枚の拙い絵であった。
が、子供が描いたにしては、楽しそうな夏休みの思い出や、印象に残った絶景なんかではなく、どういうわけか、なんの変哲もない交差点が描かれていた。そしてもう二枚には、これもまた汚い雑木林などというつまらないものが描いてあった。
「…………」
思わず黙り込んでしまう探偵二人。
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