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「わかりました……」
電話口で交渉すること三十分、九島は折れた。先野の粘り勝ちだった。
「私も仕事がありますので、明後日の土曜日にでもいらしてください」
霊能者による埋蔵金の隠し場所……。
ばかばかしいと思いつつ、もしかしたらそんな理由なのかもしれない、と先野は思った。が、本気でそんなことを考えている人間はいるのだ。探偵業を長くやっていると、なるほど、これは他人には話せないだろう、という案件の裏側を垣間見ることがある。今回の案件も、もし先野の予想のとおりなら、ツイッターで広く公開して意見を求めるなど、したくはないに違いない。
もちろん、探偵は警察ではないのだから、依頼者の秘匿したい情報を無理に白状させようなどというやり方はしない。それは社会的なポリシーであった。話したくないことは話す必要はない──依頼者宅を訪れた先野と三条は、まずは最初にそう前置きした。
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