見ていた景色

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 九島の自宅は二階建ての一軒家であった。家のデザインから築二十年はたっていると思しき家屋だが、この周辺には同じような感じの家が多い。新興住宅地にありがちな、工場が閉鎖されたかしてできた広い土地を、いっぺんに開発した区画なのだろう。この家に、九島は夫婦とひとり息子と暮らしていた。この家の大きさなら、三世代でも住めそうなのに、ぜいたくなことである。ちなみに今日は、夫人はパートに出ているとのこと。  通されたリビングルームで、探偵二人は九島と対面する。  そしてそこには、もう一人いた。 「息子の仁哉(じんや)です」  五歳ぐらいの男の子。リビングテーブルの高いイスに腰かけて、足をぶらぶらさせている。 「この絵を描いたのは、この子です」
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