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「こんにちは」
二十七歳の三条愛美が膝をついて目線を合わせて笑顔であいさつすると、男の子ははにかんだような笑みを浮かべた。
「こんにちは」
三十八歳の先野光介が膝をついて目線を合わせて笑顔であいさつすると、男の子はおびえた表情で父親の陰に隠れた。
「…………」
残酷なほど無慈悲で露骨な反応だった。
とはいえ先野の笑顔は、初めての人には気持ち悪かった。町での調査中に警察官に職務質問されることはよくあった。顔から発せられる雰囲気が怪しげなのだろう。三条は慣れたが……慣れただけだった。
心穏やかでない先野が、それが顔にでないよう咳払いすると、三条が話し始めた。
「じゃあ、仁哉くん。この絵について、おねえさんたちに教えてちょうだいね」
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