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そして最後に三条は根本的なことを訊いた。
「仁哉くんは、この場所に行ったことがあるのかな?」
しかしその質問に、男の子は少し間をおいて、いったん父親の顔を見てから答えた。
「……あるよ」
当然だろう。行ったことがなければ絵なんか描けない。
ありがとうございました──。
先野と三条は九島邸を辞した。
「どう思う?」
事務所に帰る社用車のなかで、先野はハンドルを握る三条に質問した。
「やっぱりあの絵は幼児の描いた絵でしたね」
三条は答えた。
「そうじゃない。なんのために、あの場所をさがしているんだろうってことさ」
(あの子供が埋蔵金の在処を霊視した、ということだろうか?)
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