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だしぬけに、先野はイスを蹴って立ち上がった。
「待て! おかしい!」
(あの絵は十年ほど前の景色だと言ってなかったか? なのに、絵を描いた子供は五歳ぐらいだったぞ……)
先野はシステム手帳をあわてて開き、記したメモを見つけた。
「あの親子、嘘を言ったな……」
場所をさがすことばかりに気をとられて、気がつかなかった。先野は顔をしかめた。それとも間違っただけなのか。
あるいは──。
依頼者は、なにかとんでもないことを隠しているのかもしれない。
それがどんなものか、いまはまったく想像できないし、その嘘を暴かなければならないとは思わないが……。
すると、そこへ、
「先野さん、見つけましたよ!」
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