奇妙な依頼

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「ほう……」  絵をしげしげとながめながら、先野は息をつく。 「この場所をさがす……わけですな」  思わずあごに手をやってしまう。 「あの……、やっぱり無理でしょうか」  室内にもかかわらず白いソフト帽をかぶり、なんでわざわざそんな色なのだろうかと疑問が浮かんでしまうような白の上下のスーツを着ている先野の外見が怪しすぎて、九島は心配になる。 「いえ、だいじょうぶですよ」  先野は努めて明るく応じた。 「ただ……なにかヒントはないですかな?」 「ええっと……」  依頼者の九島は口ごもる。 「おそらく県内のどこかだと思うんですが、はっきりしません」  やや歯切れが悪いのを本人も自覚しているようだった。追加の情報といっても、本当になにも話せない、ようである。
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